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導入事例|東京理科大学

【第2回】東京理科大が国際競争力向上に向け構築した「VRE」の狙い


Salesforceベースで研究進捗や外部資金の獲得状況を可視化

こうして、各方面にわたる課題を解消するために、東京理科大では研究情報ハブとしてVREを設けることになった。

前述したとおり、VREでは「研究業績の集約」「研究費の予実把握」「SNSによる部門/分野の枠を超えたコミュニケーション」「容量無制限のクラウド型ファイル共有」という4つの機能を提供する。大きく分ければ、個々の教員が行う研究ステータスの統合管理環境(前者2つ)と、学内外のコラボレーションを活性化する柔軟なコミュニケーション環境(後者2つ)となる。

まず、研究ステータスの統合管理においては、Salesforceベースでダッシュボード化が図られた。これにより経営層が研究業績、たとえば各教員の公募研究への応募状況や大学全体の外部資金の獲得状況などを、グラフを通じて一目で把握できるようになった。なお、従来から運用してきた研究者業績データベースはそのまま残しているが、このデータベースに登録された情報もVREから閲覧可能になっている。

「VREで、研究の進捗状況や特許の出願状況などを把握できるようにしたいと考えました。研究予算に関する情報も同様です。Salesforce(プラットフォーム)はダッシュボード化、グラフ化が得意なので、こうした目的に適しています」(松田氏)

VREの「外部資金状況」画面。公的研究費(科研費など)と民間研究費(企業との共同研究や受託研究など)に分かれている
VREの「外部資金状況」画面。公的研究費(科研費など)と民間研究費(企業との共同研究や受託研究など)に分かれている

またVREでは、公募研究の情報を集約して、各教員向けに提供するページも用意されている。キーワードや公募先の種類などで検索も可能になっており、積極的な応募を促す仕組みだ。

積田氏は、VREポータルに掲載された情報はダイジェストメールとして各教員に送信されるようになっており、そのメールをチェックしている教員も多いと語る。

「積極的に公募研究に応募し、外部資金を獲得していただかないと研究はできません。その(積極的な応募の)実現のために、こうした機能を盛り込んであります」(積田氏)

VREの「研究費等公募情報」画面。公募情報を集約して教員に提供している
VREの「研究費等公募情報」画面。公募情報を集約して教員に提供している

なお研究費の予実把握機能については、外部の財務管理システムの入れ替えなどがあった影響で、現在は連携をストップしているという。

ChatterとBoxで、学外共同研究者も含む柔軟なコラボレーション環境

VREが提供するもうひとつの機能、学内外のコラボレーションを活性化する柔軟なコミュニケーション環境については、ビジネスチャットツールの「Salesforce Chatter」やBoxによって実現している。

前述したとおり、それまでのコミュニケーション環境では「メール」が主要な位置を占めており、データのやり取りは添付ファイルによるケースが多かったという。だが、そもそも大容量データのやり取りには向いていないうえ、グループ内でやり取りしていくうちに異なるバージョンのファイルが多数出来ていく問題があった。もちろん、セキュリティ上の懸念もある。

さまざまなクラウドファイル共有サービスが存在する中でBoxを選択した理由について、松田氏は「使い勝手の良さ」と「管理機能」のバランスが良かったことを挙げた。実は、すでに「Google Drive」や「Dropbox」などを“シャドーIT”として利用している研究室もあり、これらも比較検討したが、求める管理機能が十分ではなかったという。

「われわれの場合は、詳細な操作ログが取得できるエンタープライズクラスの管理機能と、コンシューマーライクな操作感の両方を必要としていました。セキュリティはもちろんなのですが、先生も学生もこうしたクラウドサービスの利用には慣れており、使い勝手が悪ければ使ってもらえませんから。ここは、一般企業とは少し事情が違うかもしれません」(松田氏)

また、海外の政府機関や医療機関、大学などで採用実績が多く、セキュリティ認証も得ていること、ファイルのバージョン管理に対応していること、ブラウザベースでどんなOSでも使えること(同大学ではMacやLinuxの利用も多い)なども、サービス選定においては評価のポイントになったという。

「もっとも、利用者である先生方にいちばん説明しやすかったのは『容量無制限で使える』という点でしたが(笑)」(松田氏)

Boxを中心にすることで、メールの添付ファイルにあったさまざまな課題が解消できた
Boxを中心にすることで、メールの添付ファイルにあったさまざまな課題が解消できた

ちなみにChatterもBoxも、学外のユーザーをコラボレーションに招待することができる。そのため、前述したVREポータルにはアクセスできない企業の共同研究者とのコミュニケーションにも柔軟に活用できる。

またVREは、すでに導入されているOffice 365も含めてSAML 2.0ベースのSSO環境となっており、現在では新たなコミュニケーション手段として、VRE上の教職員名簿からワンクリックで「Skype for Business」によるWebミーティングを開始する環境も整っている。 (第3回に続く)

【第1回】東京理科大が国際競争力向上に向け構築した「VRE」の狙い~「世界の理科大」目指し、研究者支援や「強み」の分析に取り組む

【第2回】東京理科大が国際競争力向上に向け構築した「VRE」の狙い~Salesforceベースで研究進捗や外部資金の獲得状況を可視化

【第3回】東京理科大が国際競争力向上に向け構築した「VRE」の狙い~研究から「教育」へ展開、Boxの利用ユーザーを全学に拡大

※本記事は、株式会社KADOKAWAのWebサイト「ASCII.jp」に掲載された記事を許諾を得て転載したものです。

東京理科大学

企業サイトURL:
http://www.tus.ac.jp/

明治14(1881)年に東京大学を卒業間もない若き21名の理学士らにより「東京物理学講習所」として創立され、2年後に東京物理学校と改称された。昭和に入り応用理化学部が設置され、昭和24(1949)年に新制大学の発足とともに東京理科大学に改組、理学部に続いて薬学部、工学部、理工学部、基礎工学部、経営学部が次々に設置された。今日では7学部31学科、11研究科31専攻を擁するわが国私学随一の理工系総合大学である。教育研究理念として「自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造」を掲げ、理学と工学の両分野をもつ理工系総合大学として、自然および生命現象の本質と原理を解明し人類の叡智の進展をめざす「理学の知」と、様々な物・技術・システムを構築して人類の活動の充実と高度化に貢献する「工学の知」を協働させ、「自然と人間の調和的かつ永続的な繁栄への貢献」をめざす教育と研究を行っている。

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