【第4回】セキュアなクラウド環境下で実現するワークスタイルの変革

日本政府が進めている「働き方改革」

現在、出生率の改善という政府の目標を実現するために、長時間労働の抑制、有給休暇の取得促進、短時間勤務制度やテレワークの普及、子育て支援サービスの拡充などを推進するような法律や政策が検討されています。以下は安倍総理大臣の発言を抜粋したものです。

 

「『働き方改革』のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。中間層が厚みを増し、より多く消費をし、より多くの方が家族を持てるようにしなければなりません。そうなれば、日本の出生率は改善していくわけであります」(出典:首相官邸 平成28年9月27日 第1回「働き方改革実現会議」)

 

今回はそのような制度的な話ではなく、一企業がITツールを活用していかに生産性の向上を図るかという観点で私の意見を述べたいと思います。「働き方改革」という政府のスローガンと区別するため、企業がイノベーションを創出したり生産性を向上させたりするために仕事のやり方を変えることを、本記事では「ワークスタイル変革」と記述します。

 

ワークスタイル変革にもっとも必要なもの

ワークスタイル変革といえば、iPhone/iPadなどスマートデバイスの活用および在宅勤務の推進を含むテレワークや、ペーパーレス化(情報の電子化)による業務プロセスの改善が真っ先に思い浮かぶと思います。それらの課題に取り組むことはもちろん重要なのですが、企業がワークスタイル変革を実現するために私がもっとも必要だと思うのは、組織横断型の情報共有基盤を構築することです。特に、今後の研究開発やマーケティングといった部門における情報共有のあり方は、「オープンイノベーション」「共創」といったキーワードのもと組織横断型への対応が強く求められます。

 

図1. 組織横断型の情報共有基盤

 

情報共有の手段として主に利用されているメールは、複数人のコミュニケーションで使うと途中で送信が入れ違いになって議論が枝分かれしたり、個人のメールボックスに山ほどある他のメールに埋もれたり、必要なメールを見つけるのに時間を要しているのではないでしょうか。

 

メールにファイルを添付してやりとりする場合はさらに非効率で、ファイル名の最後に「_v2」などをつけてバージョン管理をするため、同じようなファイルがあちこちに散在してどれが最新版か判断できなくなったり、最終的に1つのファイルにマージするのに時間がかかったりしていると思います。

 

また、前回の記事で説明したとおり、添付メールだとファイルに対してきめ細かなアクセス制御ができないため、情報漏洩のリスクがあるという問題もあります。

 

コミュニケーションの基盤とコンテンツマネジメントの基盤

社内/社外を問わず、共同作業におけるテキストベースのコミュニケーションには企業向けSNSを利用するのが最適です。メールとは違い、グループ内の投稿に対してスレッド形式でコメントを紐付けられるため見やすく、途中から参加したメンバーでも容易に文脈を追うことができます。複数人のコミュニケーションにストレスがかからないため、より活発な意見交換が促進されます。

 

また、企業向けSNSはナレッジを蓄積する場としても非常に有効です。例えば何か質問をするにしても、メールだと宛先に指定した人以外から回答をもらうことはありませんが、グループに投稿をするとそれを見たメンバーがすぐに回答をしてくれたり、回答を知っている人を紹介してくれたりします。仕事がスピーディーに進むだけでなく、質問の回答内容はナレッジとして蓄積していくため、他の人が後から同じような質問をしたいときにキーワード検索で簡単に見つけることができます。企業向けSNSには、さまざまなクラウドサービスがありますが、現在注目されているのはSlack、Microsoft Teams、Workplace by Facebookといったサービスです。

 

企業向けSNSにもファイル添付の機能はありますが、きめ細かなアクセス制御、詳細なログ取得、バージョン管理といったコンテンツマネジメントの機能に関しては弱いため、機密文書などをやりとりする場合はセキュリティ機能に優れたコンテンツマネジメントの基盤が必要になります。企業向けのセキュアなファイル共有サービスで定評があるのはBoxです。

 

プロジェクトでは機密文書を取り扱う場合も多いと思いますので、文字情報を中心としたコミュニケーションの基盤と、ファイルを中心としたコンテンツマネジメントの基盤を組み合わせて利用することが、高度なセキュリティを担保しつつ生産性を最大化するベストプラクティスになります。

 

2つのツールを使うとかえって効率が落ちると思われるかもしれませんが、Slackなどの主要な企業向けSNSには、Boxなどのファイル共有サービスと連携するアダプタが無償で提供されているため、1つの画面でシームレスに業務を行うことが可能です。

 

図2. Slack上でBoxのファイルを共有するイメージ

 

目的やユースケースに応じて、どちらかの基盤を構築するだけでも十分な効果が期待できます。組織の壁を超えた議論やナレッジの共有/蓄積が主なユースケースで、ファイルに関するセキュリティ要件が厳しくない場合はコミュニケーションの基盤のみで十分ですし、セキュアなファイル共有やファイルの共同作業が主なユースケースという場合はコンテンツマネジメントの基盤のみで十分ということになります。

 

図3. Boxのコラボレーションイメージ

 

ワークスタイル変革成功の鍵はチェンジマネジメント

新しいITツールを導入するとき、それがいくら使い勝手がよくて簡単なものであっても必ず変化に対して抵抗を示す人がいます。現場の担当者としてはそれまで慣れていたやり方を変える労力が短期的には必要になるので、これはある意味自然な反応といえます。その自然な反応を考慮せず、社内ポータルサイトやメールによる告知、1~2回の簡易的なトレーニングの実施、操作マニュアルの配布などお決まりの展開を実施するだけでは、変化を強いられる理由やツールを導入することで得られるメリットを正しく理解してもらえない可能性があります。そうすると定着化が思ったように進まず、期待している成果が得られないリスクが高まってしまいます。

 

この変化をできるだけスムーズに現場に受け入れてもらえるような取り組みのことをチェンジマネジメントといい、ITツールの展開に限らず、変革を成功させるためには鍵となる要素になります。ここでは簡単に3つのポイントをご紹介したいと思います。

 

・チェンジネットワークの構築

 

地域や部門単位でユーザのセグメント分けを行い、各セグメントからパワーユーザを任命します。トレーニングはこのパワーユーザ向けに手厚く行い、現場の展開を支援してもらいます。

 

図4. スポンサーシップとチェンジネットワークの構築

 

・コミュニケーションとトレーニングプランの作成

 

変化を受け入れるのに十分な猶予を現場に与えるため、社内ポータルサイトでの告知や経営層からのメッセージ発信はリリースの1カ月ほど前から行うのがよいと思います。エンドユーザとのコミュニケーションやトレーニングは1回でまとめて行うのではなく、ユーザの理解度に合わせて複数回に分けて行うのが効果的です。リリース後も、プロジェクトチームから定期的に社内の成功事例や便利な機能などを発信し続けることで、定着化は確実に進んでいきます。

 

いかがでしたでしょうか。ワークスタイル変革には組織横断型の情報共有基盤が必要で、その実行にはチェンジマネジメントが重要である点を説明しました。ワークスタイル変革の成功は、新たな事業価値の創造や競争優位性を築くことにつながります。最近の時流に乗って、ぜひこの機会にご検討いただければと思います。

 

【第1回】 クラウドの最新状況とSaaSのメリット
【第2回】 なぜクラウドがオンプレミスよりもセキュアなのか(上)
【第3回】 なぜクラウドがオンプレミスよりもセキュアなのか(下)
【第4回】 セキュアなクラウド環境下で実現するワークスタイルの変革
【第5回】 AIが描くワークスタイルとセキュリティの未来

 

本記事はマイナビニュース2016年12月~2017年2月の掲載内容を転載したものです。

【連載】コンテンツマネジメントで実現するワークスタイル変革とセキュリティ強化

 

最終更新日:2017年04月27日

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