去る2025年2月19日、「Box Caravan in Shikoku」が開催された。地域でのIT活性化のアイデアを求めて、会場の高松シンボルタワー情報通信交流館eーとぴあ・かがわに多くの人々が集まった。
本イベントの冒頭、Box Japan代表取締役 会長の古市克典が挨拶に立ち、自身の経歴や香川県との関わりを述べるとともに、Box社の日本市場における取組を紹介した。また、香川県知事の池田豊人様からはビデオメッセージが寄せられ、本イベントを通じて新しいアイデアを見つけ、香川県地域経済の活性化に向けたビジネス活動の発展につなげてほしい旨が語られた。
Box社は日本市場において、特に2019年から2024年にかけて急成長を遂げ、現在では日本法人の売上がグローバル全体の23%*を占めるまでになっている。多くの外資系企業が日本での売上10%を目標にしている中でこの数字は驚異的であり、日本のユーザーの声が本国へ届きやすい環境になっていると強調した。
また、Boxのサービスは単なるクラウド上のファイル共有にとどまらず、セキュリティを強化し、コンテンツ管理を効率化するものであることが説明された。特に、AIを活用したコンテンツ管理やワークフローの自動化に力を入れており、今後も技術革新を進めていく考えが示された。
*2025年度におけるグローバル全体の売り上げに占める日本市場の比率
Boxの最新情報をアップデート
次に、Box Japanのプロダクトマーケティング部 エバンジェリストの浅見顕祐からは、企業のコンテンツ管理の進化と生成AI時代におけるBoxの重要性について詳しく解説した。企業ではいま、情報がさまざまなツールやシステムに散在し、サイロ化していることが大きな課題となっている。このような状況下で効率的なAI活用を実現するには、情報をSingle Source of Truth(SSOT、信頼できる唯一の情報源の意)として一元管理することが不可欠であり、そのための最適なソリューションとしてBoxを紹介した。
また、Box AIについても詳しく紹介。Box AI for DocumentsやBox AI for Hubs など既存機能のほか、AIエージェントのカスタマイズやAIによるメタデータ自動抽出などの新機能が利用可能になったことが伝えられた。
さらに、Box Apps / Forms / Doc Genも紹介。メタデータ検索ダッシュボードや文書生成・署名自動化アプリをノーコードで開発できる機能が用意されており、ビジネスプロセスの自動化に貢献することが期待できる。
Box AIは今後、より多くのプランに対応するよう拡充されるという朗報も発表され、AIを融合することで機能を進化・洗練化させていくことで、お客様企業に貢献していくことが語られた。
株式会社マキタのBox導入攻略記
株式会社マキタ 執行役員 情報企画部 部長の高山百合子様からは、Box導入の経緯について紹介がなされた。同社は、香川県高松市に本社を置く、創業100年を超える舶用ディーゼルエンジンの製造・販売を行なう企業である。2019年ごろから、グループウェアの刷新プロジェクトが始まっていたが、データ散逸をはじめとするさまざまな課題が挙がっていた。それを解決したのがBoxだったのである。事業継続と生産性向上のために何に取り組むべきか──当時の資料なども交えながら、社内をいかに説得したのか、さらには、社内でどのように広めていったのかについて、具体的な紹介がなされた。
また、Box導入後、社内・社外でどのような使われ方をしているかも紹介。
社内では、社員の意識が、データや資料を自分の好きなところに置くことから、Box上に集めるように変化するとともに、情報共有のスピード化が進んだ。今では、社内改善発表会でBoxを利用した改善事例が数多く出されるなど、Boxは「使わなければならないもの」から「日々当たり前のように使う手段」へと変化していった。
社外では、取引先の企業をコラボレーション招待し、共にBox を活用していただくことで、セキュリティの全体的な底上げを実現。今後は、社内での各種システムと連携するコンテンツハブとしてのさらなる活用や、社外でのセキュリティ強化やコラボ利用促進を通じた企業間の業務効率化アップ、地域企業のIT底上げが期待されている。
四国電力、マキタに聞く! Boxの今
続くパネルディスカッションでは、四国電力株式会社 執行役員 情報システム部 担任の三野雅仁様、株式会社マキタの高山様、Box Japanの浅見により、Boxの「導入検討時に苦労したこと」「展開時に考慮したこと」「今後の展望」の3つのトピックについて話し合った。四国電力、マキタ両社ともBoxを導入するにあたり、それまで使用していたシステムの刷新や業務効率化を目指しており、それぞれの背景や意思決定プロセスが語られた。
四国電力では、オフィスシステムと呼ぶ社内コミュニケーションシステムを、長年使用していたHCL NotesベースのシステムからBoxを含んだ新システムへ移行した。その理由として、業務効率化や情報の共有・継承が挙げられた。三野様は、システム選定の際に、信頼性や機能性、コスト面を重視し、Boxがこれらを満たす最適な選択肢であると判断したと説明した。また、Boxを展開していく際には、その戦略として、2割の機能に集中して8割の成果を上げるという「パレートの法則」を意識した導入を進め、それを担う「推進キーマン」が中心的な役割を果たしていったことが強調された。
一方、マキタの高山様は、Box導入当初、社内での認知度が低かったため、データを一カ所に集めやすいというBoxのベネフィットを踏まえつつ、導入を進めたエピソードを紹介。高山様は、Boxが他のサービスよりも直感的でシンプルに使える点を訴え、社内の説得に成功したと述べた。
登壇者、参加者の親睦を深めるコミュニティ
会場を移して行われた懇親会では、登壇いただいた株式会社マキタの高山様、四国電力の三野様をはじめ、ご参加いただいた皆さまやBox社員との間で親睦が深められた。
Box Caravanはこのように、日本のIT活性化を図る地域振興コミュニティとして、その役割を果たすべく、今後も全国各地に展開していく予定だ。