すべての企業や組織は、構造化データと非構造化データの2種類の「データ」を持ちます。 しかし、一般的には、構造化データ(データベースで整理可能)が正しく把握され、活用されているのに対して、非構造化データは十分に活用されていないと言われています。非構造化データには、ファイル、ビデオ、PDF、画像、スプレッドシートなど、あらゆる種類のコンテンツが含まれ、それは毎日大量に生成されています。
IDCによると、組織のデータの90%が非構造化データ(コンテンツ)であるにもかかわらず、その半分も再利用されていないと、41%の企業が回答しています *¹。
今年のBoxWorksでは、活発なディスカッション、魅力的なプレゼンテーション、そして複数の製品発表が行われました。
今年のキーノートセッションでは、AIの進化が非構造化データの扱い方をどのように変え、ビジネスの成長を加速させるかというテーマで、講演が行われました。近い将来、コンテンツを選別し、意思決定のための洞察を収集することがさらに容易になると、実感できる内容でした。 また、コンテンツをキュレート(整理)して、社内外の関係者に公開する新しい方法についても発表されました。AIを取り入れ、技術スタックを簡素化する今後のプラットフォーム強化についても言及されました。そして、新たなセキュリティ脅威の爆発的な増加に直面し、地域や業界のコンプライアンスやプライバシー規制が強化される中、グローバルな顧客ベースのセキュリティ・アップデート、および新たなパートナーシップについても、話を聞くことができました。
AIを活用した近未来の働きかた
組織が生み出すコンテンツの量は急速に増加しています。今年末までに、世界の組織は73,000エクサバイトの非構造化データを生成すると言われています*¹。ジェネレーティブAIの台頭により、組織は、この「持ち腐れ」となっていた情報リソースを、これまで以上に活用できるようになるでしょう。
AIは人々の仕事の在り方に劇的な変革をもたらします。そして、AIが最もその力を発揮できるのは、エンタープライズコンテンツの分野です。今年初め、私たちはBox AIを発表しました。Box AIは、すべての非構造化データから、価値ある情報やインサイトを引き出すことができます。そして、そのコンテンツは、安全な単一のコンテンツ・プラットフォームであるBoxに格納されているため、Box AIを安全に活用し、組織全体に適用することができます。
画期的な生成AIの最高峰と、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシーに関するBoxのエンタープライズグレードの基準が融合したもの、それがBox AI
今後、多くのBox製品や機能にBox AIが導入される予定です。最初に、プレビューやBox NotesにBox AIを適用した新機能をリリースする予定です。Boxで200種類以上のドキュメントをプレビューし、PDF、PPT、DOCなどのファイルの内容について(チャットのような機能を使って)Box AIに説明させたり、要約させたりすることができます。さらに、Box NotesのBox AI機能を使えば、ユーザーはBox AIプロンプトからコマンド(「ブログのドラフトを作って」というような命令文)を使ってコンテンツを生成することができます。必要に応じて内容を洗練させたり、Boxに安全に自動保存したりすることができます。
Box AIは今秋以降、Enterprise Plusプランのユーザー向けに、ベータ版の提供を開始します。
Box Hubsの紹介
チームは通常、最終的なコンテンツを整理し、関係者に配布するためのツールに多くの時間を費やします。IT部門は、その仕組みの導入や維持管理に、多くの費用を費やします。しかし、これからは違います。Box Hubsは、カスタマイズ可能なポータルで、組織内外の優れたコンテンツを迅速かつ安全に公開できます。
Box Hubsは、チームがコンテンツを管理、整理、配布する方法を簡素化します。従業員のリソースポータルから、ナレッジベース、クライアントサイト、またはその間にあるあらゆるコンテンツまで、従業員は直感的で安全なポータルから更新された「正しい情報源」であるコンテンツに簡単にアクセスして、外部のパートナーと安全に情報を共有することができます。
ボタンをクリックするだけでHubを作成し、Boxアカウント内の任意のコンテンツやフォルダへのリンクでカスタマイズできます。コンテンツのプレイリストのようなものです。
Box AIが当社の製品全体に導入されることは前述しましたが、Box Hubsも例外ではありません。その通り、HubsにBox AIを追加することで、検索バーから直接、かつてないほどコンテンツのパワーを活用できるようになります。特定のドキュメントを探したい場合、Boxの強力な検索エンジンがクエリを実行します。しかし、Hubのキュレーション(整理)されたコンテンツ全体の複雑なコンセプトを掘り下げて理解したい場合は、検索ではなくBox AIの出番です。Box AIに質問すると、Hub内の複数のファイルにわたって、要約や情報分析など実行し、回答をすぐに返してくれます。
Box HubsはEnterpriseプラン以上のすべてのBoxユーザーが利用でき、Box Enterprise PlusプランではインテリジェントなBox AIを搭載したHubを利用できます。詳しくは、Box Hubsのウェブサイト、Boxブログをご覧ください。
コンテンツの可能性を広げるプラットフォームの強化
Boxのコンテンツ機能をカスタムアプリケーションや他のサードパーティツールで活用したい企業は多いと思います。Box Platformでは、API、SDK、開発者向けツールにより、必要な場所でBoxの機能をシームレスに利用することができます。
まもなく登場するBox AI用の新しいAPIで、Box Platformはさらに進化します。Box AIは開発者向けに提供され、企業コンテンツがどのように使用されるかにかかわらず、すべてのAI機能を拡張します。カスタムアプリ内でBox AI APIを活用することで、ビジネス独自のニーズを満たし、エンタープライズコンテンツのパワーを拡張することができます。
メタデータは多くのコンテンツワークフローで重要な役割を担っており、検索、カテゴリ分類、ワークフローの自動化などを支えています。メタデータ抽出のための全く新しいBox AI APIを使用すると、定義されたメタデータテンプレートに自動的に値を入力することが、これまで以上に簡単にできるようになります。必要なのは、AIが自動生成したメタデータ候補を、保存する前に確認することだけです。この新しいAPIは、AIを活用してメタデータフィールドをファイル自体の属性にマッチさせ、メタデータの記録と管理という大変な作業を簡素化します。
最新のBox AI API開発者向けドキュメントをBox Developer Communityサイトでご覧ください。このドキュメントは進化する可能性があり、一般提供開始が近づくにつれて、Box AIの開発者向けリソースを、追加で紹介していく予定です。
Boxのネイティブ・ドキュメント生成
今日の組織は、コンテンツ・ワークフローを管理するために、あまりにも多くのツールを扱っています。そのような独立したツールの1つが文書生成ツールであり、ワークフローの他の部分とつなぎ合わせる必要があります。IT部門は、このような個別のツールをつなぎ合わせることに時間を割くことができず、データのサイロ化や、一貫性のないセキュリティやコンプライアンスによるビジネスリスクの増大を招いています。これは、エンドユーザーにとって手作業が増えることを意味し、ワークフローを壊し、ヒューマンエラーや断片的なユーザーエクスペリエンスの原因となってしまいます。
上記の課題に対処するため、Content Cloudでネイティブ・ドキュメント生成機能を提供します。Box Doc Genは、複数のデータソースからカスタムドキュメントをBox上でネイティブに自動生成できる全く新しい機能です。そして最大の特徴は、Box上の他のセキュアなコンテンツワークフローとシームレスに連動することです。
Boxは文書作成をシンプルにします。Microsoft Word用のBox Doc Genアドインで文書テンプレートを作成し、データソース(例えば、Salesforceの顧客情報やERPシステムの在庫情報など)をマッピングしたら、あとはBox Doc Genにお任せください。エクスポートもアップロードも不要で、誤字脱字もありません。データソースの組み合わせや、Boxメタデータの使用も可能です。
NDAや契約書のようなカスタマイズされた文書に署名する場合でも、Content Cloudに安全に保存され、共有されます。クライアント固有のレポートを自動的に作成する場合でも、Box Doc Genは画期的なソリューションです。BoxはAPIファーストのアプローチを採用しているので、大量のユースケースに最初に取り組むことができます。Box Doc Gen APIのプライベートベータは来春公開予定です。
Boxのセキュリティをさらに強化
2023年に、データ侵害対応で発生するコストは、推定で450万ドル*¹近くに上ると算出されています。このコストを抑えるためには、増大するコンテンツを保護することが最も重要です。すべてを1つの場所(Content Cloud)に集中させることが、強力なセキュリティへの第一歩です。そして、BoxWorksで発表した最新のソリューションが、最高のセキュリティ強化を支援します。
最初に、世界的なセキュリティリーダーであるCrowdStrikeとの新たなパートナーシップを発表しました。このパートナーシップにより、あらゆる規模の組織がクラウド上のデータを保護し、データ侵害を阻止できるようになります。このパートナーシップに含まれる新しい統合では、BoxがCrowdStrike Falcon Zero Trustのデバイス・リスク・シグナルを活用し、安全でないデバイスや危険にさらされる可能性のあるデバイスがBox内のコンテンツにアクセスできないようにすることで、マルウェアの侵入やデータ漏洩のリスクを低減します。この統合により、両社の顧客はデバイスの状態とデータアクセスから得られる情報を組み合わせ、リアルタイムでリスクを評価し、詳細なポリシーを設定し、必要な対策を取る能力を向上させることができます。
Box Shieldは、CrowdStrikeからリスクスコアを取り込みます。このリスクスコアは、OSにビルトインされたセキュリティオプション、ファームウェアの可用性、CVE(共通脆弱性識別子)の軽減策など、多くの変数から決定されます。Boxの管理者は、このリスクスコアを使用して、自動的にユーザーセッションを終了し、高リスクと判断されたデバイスからのログインをブロックし、危険なデバイスから組織の情報を保護することができます。この新たな統合により、クラウドからエンドポイント、アプリケーションまでの全体にわたってコンテンツ保護の対策がなされ、作業の邪魔になることなく、セキュリティを強化することができます。
この統合は、BoxとCrowdStrikeの顧客向けに2023年末に提供される予定です。
さらに、拡大を続けるマルウェアの脅威を軽減するため、Box Shieldのランサムウェア保護機能を拡張します。これらの機能拡張には、破損したコンテンツを復元するセルフサービス型コンテンツ復元ツールや、Box Driveから発信される異常なファイル操作を特定するAI搭載の脅威検出機能が含まれます。コンテンツ復旧機能のベータ版は、近日公開予定です。
さらに、Boxは、許可された地域外からコンテンツにアクセスしようとするユーザーを自動的にブロックする機能により、ユーザーがコンテンツにアクセスする方法を管理者がさらにコントロールできるようにします。これにより、盗まれた認証情報を持つ悪意のある第三者が機密ファイルにアクセスするのを防ぐことができます。
これらのエキサイティングなBoxWorksの発表以外にも、最近のセキュリティアップデートをご覧ください。
- 管理者を標的とした攻撃から守るため、新たなセキュリティ対策を展開します。
- 管理者インサイトにより、ユーザーとコンテンツの可視性を大幅に向上します。
- 異常検知やマルウェア・ディープ・スキャンなどの高度な脅威検知の基礎となるアルゴリズムを改良し、精度を向上させ、誤検知を減らします。
- Box Governanceのリテンション機能を拡張し、Box Shieldの分類ラベルに基づいたリテンションポリシーを作成できるようにすることで、コンテンツのライフサイクル全体を、より適切に管理できるようになります。
Content Cloudは、コンテンツ・ジャーニー全体を管理するためのセキュアでインテリジェントなプラットフォームです。Boxを使用すると、すべての非構造化データの価値を引き出し、データを保護し、コンプライアンスを維持し、コラボレーションを加速し、ワークフローを自動化できます。
Boxによるコンテンツの一元管理、AIによるインテリジェンスの応用、Box Hubsのような新機能の詳細、データのセキュリティの確保については、BoxWorksの基調講演の全文をご覧ください。
*Boxの製品ロードマップおよび機能は変更される可能性があります。本ブログに記載されているBox製品または機能の開発、リリース、タイミングは、(a)Boxの単独の裁量によるものであり、(b)本投稿の日付時点でBoxが利用可能なリソース、製品計画、その他の情報に関する一定の前提に従うものとします。本投稿に記載されている情報は、特定の機能、コード、または機能を提供することを約束、約束、または法的義務ではありません。お客様は、現在利用可能なBox製品の特徴や機能に基づいて購入の意思決定を行う必要があります。
*1 出典IDCホワイトペーパー、Box主催、「Untapped Value:Untapped Value: What Every Executive Needs to Know About Unstructured Data", Doc #US51128223, August 2023
※このブログはBox, Inc公式ブログ(https://blog.box.com)2023年10月11日(日本時間10月12日)付投稿の翻訳です。
著者:BOX
原文リンク:https://blog.box.com/boxworks-2023-unlock-value-your-content
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