2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に、そして5月7日には全国に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が出されました。これにより、都市封鎖ではないものの、密閉、密集、密接の3密を防ぐことに加え、人と人の接触機会を8割削減、出社率7割削減をするために外出自粛が国民に要請されました。安倍首相は「最も重要なことは、国民全員が行動を変えることだ」と訴えました。東京都からは飲食店の営業を20時までとする要請の他、休業要請を行う施設も多く存在します。
そのような状況下で、株式会社東京商工リサーチ(TSR)は4月10日、3月27日~4月5日、インターネットでアンケートを実施し、1万7,896社の有効回答数を得た第3回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果を発表しました。
調査の中には、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために在宅勤務・リモートワークを実施しましたか?という設問がありました。その回答は以下となります。
- 企業規模に関係無く「実施した」と回答した企業:25.4%(前回から7.7ポイント増)
- 大企業(資本金1億円以上):48.1%(同33.7%増)
- 中小企業(資本金1億円未満):20.9%(同14.1%増)
在宅勤務で何ができなくなるのか?
工場勤務の方々を始め、エッセンシャルワーカーと呼ばれる方々を抜きにしても25%という数字は、「行動変容が重要」と専門家からも重要性を強調されている中で高くないのではないでしょうか。
では、どうすればオフィスワーカーが在宅勤務やリモートワーク、テレワークを行えるようになるのでしょうか。オフィスワーカー業務の多くは、文書やファイルといったコンテンツを関係者と共有(コラボレーション)した上で、コミュニケーションし、何かしらのアウトプットを出すことで成り立っています。コロナウイルス感染拡大防止が叫ばれ始め、急速に、クラウドのコミュニケーションツールであるZoomは爆発的に認知度を上げ、もちろん利用されるようになりました。Zoom飲みといったことまで行われています。
その一方で、Zoomを業務上のコミュニケーションに利用すると1つの問題点に気づきます。それが上記の「ファイルへのアクセス」です。在宅勤務でオフィスに行けなくなると、社内のファイルサーバーにある文書やファイルにアクセスできなくなります。Zoomでファイルを表示し共有しようとしても、その表示するファイルやコンテンツにアクセスができないのです。つまり、「情報へのアクセス」が大きな問題となるのです。
今回のように全社員や大半の従業員が在宅勤務を即時行う必要のある有事の際は、システムの準備をする時間も当然無いため、イントラネットにVPNでアクセスしようにも、そもそもVPNのキャパシティは全社員分を想定していないため、キャパが不足し、アクセスができない、遅くなるといったことにつながるのです。同様に社外持ち出しPCも台数が足りず、よって、自宅から社内システムに全くアクセスができないという社員も多いようです。
インターネット&クラウドの有用性
出社率7割削減の政府要請により物理的にオフィスへは行けず、かつ自宅からイントラネットにアクセスができない以上、利用できるものはインターネットとなります。例えば、上記のこのコロナ渦で利用社が爆発的に増えているZoomは意識をしていない人も多いかも知れませんが、「クラウド」型のコミュニケーションツールです。イントラの社内システムにアクセスするのではなく、インターネットで自分のPCだろうが会社のPCだろうがZoomのサービスにアクセスでき、顔の見える会議ができるのです。
これと同様のことをファイルやコンテンツといった情報においても行えば、大きな問題の1つである「情報へのアクセス」が解決します。クラウドストレージを活用することで、物理オフィスやイントラネットの呪縛から解放されるのです。
クラウドのセキュリティの考え方を理解しよう
業務でインターネットを使うといった途端に浮かぶことがセキュリティだと思います。イントラネットや物理的なオフィスは、全てネットワークや物理的な扉にセキュリティや鍵を掛けることで安全を保っています(境界型セキュリティと呼ばれます)。一方で、インターネットにおいては、ネットワーク自体にセキュリティは掛けられない(「ゼロトラスト」と呼ばれます)。
インターネット上のサービスでは、クラウドストレージも含んで、ファイルそのものやフォルダ、ビデオ会議なら会議そのものにセキュリティを掛けます。つまり、セキュリティが掛かっていないわけでも、掛けられないわけでもなく、考え方が違うのです。クリーンルームにアクセスができない今、もしくは今後の新しい生活様式において、善悪関係なく全ての人が使うインターネットを、どう安全に利用するかの新しいセキュリティの考え方なのです。
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コロナ禍の今だけではなくこれからの業務基盤として
今現在置かれている感染拡大防止のため、今後のニューノーマルのため、多くの社員を在宅勤務させなければならない、そして業務も継続させなければならない状況において、システムをゼロから見直し、構築し直すことは時間的にも経済的にも高コストです。ですが、業務文書をクラウドストレージに移行すること比較的容易です。公開情報は社員誰でもアクセスできるフォルダに、機密やアクセス権が付与されている情報は、セキュアなフォルダやファイルとして管理すれば、自宅からでも、自宅のPCからでも情報にアクセスできるだけでなく、セキュリティも担保できます。
さらに、クラウドストレージは、社外の関係者とも容易に共有(コラボレーション)できるため、効率も上がります。サプライチェーン全体の支援となります。もちろん、アクセス権は既存のAD等のID管理と連携が可能です。その情報をZoomやSlack、eメールといったコミュニケーションツールで社内外の関係者とコミュニケーションすれば、多くの業務を自宅から遂行することができるようになります。
GmailやMS Office 365やTeams、ZoomやSlackといったクラウド型のコミュニケーションツールの利用が進んだ中で、情報へのアクセスが、実は盲点になっており、リモートワークやテレワークを阻んでいた大きな要因でした。コミュニケーションツール同様、コンテンツ管理のクラウドサービスにも正しい理解をし、利用することでこの困難を乗り切れるに違いありません。事実、米国ではBoxをZoomと共同利用する企業が1ヶ月で585%増えているだけではなく、フォルダやファイルを共有する招待を受けた率が約40%増えています。日本ではアクセス数が過去最高を記録しました。
コロナウイルス感染拡大が一段落した後に、情報やコンテンツはどの業務にもあるため、この一歩が新しい働き方への一歩ともなり、さまざまな業務を支え企業のDXや働き方改革の一端となるでしょう。そのためには、選択するクラウドストレージも単なる使い捨てとなるクラウドストレージではなく、アフターコロナでも業務を支え、効率化できる「基盤」となるクラウドストレージを選択することが重要な要素になると思います。
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