社内業務の効率化を図るためには、業務プロセスの改善や作業工程の見直しに取り組む必要があります。そこで重要となるのが業務には必須のファイルの管理とワークフローです。本記事ではファイル管理、すなわちコンテンツ管理とワークフローを見直すメリットや注意点を解説するとともに、業務効率化に寄与するおすすめのソリューションも紹介します。
コンテンツ管理とは?
コンテンツ管理とは、組織の運営に関わる文書やファイルの管理活動を指します。定款や財務諸表、各種名簿などの企業全体で組織的に保管する共有ファイルはもちろん、従業員自身で保管している備忘録やマニュアルなどの個人所有ファイルも管理の対象となります。
コンテンツ管理の主な目的は、「あらゆる文書の作成から破棄に至るライフサイクルを管理すること」「法定保存文書を適切に保管すること」「情報を整理して業務効率化を図ること」です。
こうしたコンテンツ管理をデジタル上で実行するソリューションを「コンテンツ管理システム」と呼びます。コンテンツ管理システムは組織内の文書やファイルといった“コンテンツ”を1つのプラットフォームで一元的に管理し、共有や検索を大幅に効率化します。コンテンツ管理システムの導入はペーパーレスにも寄与するため、用紙代やインク代といったオフィスコストの削減にもつながるでしょう。
ワークフローとは?
ワークフローとは、業務における作業や手続きの流れを指す概念です。広義では生産工程やオペレーションといった業務プロセスそのものも指しますが、一般的に申請書の作成・提出・承認といった稟議・決裁を指します。
例えば、デジタルデバイスの購入を検討する場合、「まず稟議書が提出され、次に上長が内容を確認して承認し、さらに管理部門が最終承認する」という流れで申請を処理します。近年では、この稟議・決裁における一連のプロセスを指して「ワークフロー」と呼びます。
そして、こうした申請・承認・決裁などの業務プロセスを自動化し、デジタル管理するためのソリューションが「ワークフローシステム」です。従来は紙で作成した書類を上長のもとへ運び、承認と押印を得ていたと思います。ICTのワークフローシステムを導入することで、このプロセスをオンライン上で完結可能になるため、稟議・決裁における時間を大幅に短縮できます。
コンテンツ管理とワークフローを見直すメリット
コンテンツ管理とワークフローの効率化を目指す上で不可欠となるのが、コンテンツ管理システムやワークフローシステムの導入です。近年、ICTの発展やクラウドの普及とともに、企業が取り扱うデジタルデータの量は指数関数的に増大しています。このような時代においてコンテンツ管理とワークフローをアナログな手法で管理するのは非常に困難ですし、働き方改革上でも課題となります。
もちろん、「コンテンツ管理のルールや仕組みの見直し」「情報ガバナンスの強化」「コンプライアンス意識の改革」といった施策も欠かせません。こうした施策と同時にコンテンツ管理システムやワークフローシステムなどのソリューションを導入し、組織全体でコンテンツ管理とワークフローの見直しに取り組むことで以下のようなメリットをもたらします。
コンテンツ管理システムでワークフローも簡略化、自動化できる
ワークフローにはコンテンツが付きものであることが多いこともあり、多くのコンテンツ管理システムにはワークフロー機能を搭載しています。また、文書の登録時に電子承認を得るよう設定もできます。そうすると、書類の申請時に上長が不在で再提出したり、添え状を用意したりといった手間の簡略化も可能です。いくつかのステップを組み合わせ、完了まで一連のワークフローを自動化するものもあります。
文書がいつでも簡単に取り出せる
コンテンツ管理システムにはWordやExcelで作成された文書を保管するだけでなく、「紙の文書をデジタル化しつつ、統合的に管理する機能」を搭載しているものもあります。もしくは、MFP(複合機)やスキャナと連携するものもあります。紙の文書をデジタル化することは、ファイル名やキーワードで検索可能となることでもあるため、目的のファイルをいつでも簡単に取り出せるようになります。
またオフィスへ行かなくても業務が可能になり、テレワークの推進にも貢献します。
セキュリティ面で安心できる
コンテンツ管理システムやワークフローシステムを導入する大きなメリットの1つが、「セキュリティの向上」です。アクセス権限設定が搭載されているソリューションであれば、部門や役職によってファイルにアクセス可能なユーザーを制限できるため、情報漏えい事故のリスクを大幅に低減します。また、アクセス履歴が取得できるものであれば、紙文書と異なり、誰がアクセスし何をしたかも把握できます。
共有しやすくなる
コンテンツ管理システムは1つのプラットフォームで組織の文書を一元管理できるため、全社横断的なファイル共有の円滑化に寄与します。さらにリアルタイムで文書を共有することで部門間における重複や矛盾もなくなるため、部門を跨いだ業務連携や効率化、コラボレーションの促進にもつながるでしょう。
コンテンツ管理とワークフローを整える際の注意点
コンテンツ管理やワークフローの仕組みを見直し、各プロセスをデジタル化するソリューションの導入によって、組織全体における業務効率化と生産性向上が期待できます。しかし当然、メリットの裏には相応のデメリットもあります。そのため、以下のポイントに注意しておきましょう。
管理にコストがかかる
コンテンツ管理システムやワークフローシステムの導入には、システムの設計・開発に相応の費用を要します。また、システムの安定的な稼働を担保するためには、ハードウェアの保守・運用管理が不可欠です。そのため、システムの導入費用だけでなく、継続的な管理コストが必要となる点に注意しなくてはなりません。
使い勝手に慣れるまでに時間がかかる
コンテンツ管理システムやワークフローシステムの運用成果を最大化するためには、全社的なITリテラシーの向上が不可欠です。しかし、業種によっては従業員のITリテラシーに大きな差があり、各種システムの運用に慣れるまでに相応の時間を要するケースも少なくありません。
対応していない業務プロセスや文書もある
コンテンツ管理システムやワークフローシステムは、さまざまな企業が多種多様な製品をリリースしており、すべてが同一の機能を備えているわけではありません。製品によっては自社の業務プロセスに適応できなかったり、対応していないファイル形式があるといった恐れもあるため、ソリューションの選定は慎重に行う必要があります。
まとめ
ICTやクラウドの発展と普及に伴い、企業が扱う構造化、非構造化問わずデジタルデータの量は激増しています。そういった中、引き続きアナログな手法で文書やワークフローの管理を続けることはハイリスクかつ非効率的です。
コンテンツ管理とワークフローのプロセスを改善できれば従業員一人ひとりの業務効率が向上し、組織全体における生産性の向上につながるでしょう。業務コンテンツの共有や承認をいつでも、どこでも行えるようになることは働き方の多様化の上でもポイントともなります。
DX推進のためにもコンテンツ管理とワークフローの最適化は非常に有効です。ぜひ導入の検討をしてみてください。
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