ITツールの導入は手段。事業の目的を見据え、Boxと外部ツール連携、Webインターフェースの活用を経て、Business Plusへのアップグレードへ
ITツールの導入は手段。事業の目的を見据え、Boxと外部ツール連携、
Webインターフェースの活用を経て、Business Plusへのアップグレードへ
Boxを導入することは目的ではなく手段。会社の戦略や事業の方向性などに合わせて使っていくーー。そんな活用ができれば、Boxに限らずツールの良さをさらに引き出すことができます。埼玉県を中心に太陽光発電事業を展開する株式会社恒電社は、その点において、各種ツールの導入から社内浸透まで、試行錯誤しながら行い、現在はBoxのWeb版を積極的に利用したり、Business Plusへライセンスのアップグレードを行うなど、目的に合わせて運用しています。今回は、そんな同社のBox活用事例をご紹介します。
※インタビューは全てオンラインにて行っております。
【サマリー】
- 生産性の低さを解消するために、業務全体を見直した上でBoxを導入
- SalesforceやChatworkなど、外部ツールと連携することでBoxは有効活用できる
- Webインターフェースのメリット・デメリットと社内浸透方法
- Business から Business Plus ライセンスへアップグレードした理由
埼玉県で太陽光発電事業を展開する企業の「デジタル化戦略」
経営企画室室長 恒石 陣汰 氏
事業戦略部 峯岸 直子 氏
Q: まずは御社の業務内容を教えてください。
恒石 氏:当社は1991年の創業から30年以上、地域のインフラである電気設備工事業を生業としてきました。
現在は、埼玉県の企業様を中心に自家消費型太陽光発電設備のシステム設計・部材調達・施工までを一気通貫で行うEPC事業と、法人向けの電気設備工事業が事業の柱となっています。
Q: 業界共通での課題と感じられていることはありますか?
恒石 氏:1つの案件に対し、図面や書類が非常に多く発生することです。たとえば、電気図面、工程管理表、行政機関への申請書類などがそれにあたります。
さらに当社の場合、ご提案から設備の設置、その後稼働してから20年間以上継続的にお客様と関わっていくため、情報管理はとても重要となります。
図面などを紙で管理していた頃は、書類を見つけ出すのに時間がかかるなどの課題感が大きかったです。
Boxを導入する前は、何が新しく何が古いのかというバージョン管理や、資料を検索することに時間がかかっていたのですが、Boxを導入し、書類を全てデータで管理し始めたことによって、バージョン管理や検索の利便性が格段に上がりました。
電気工事業界の同規模の会社では、「今までも紙でやってきたから」という理由でやり方を変えられないケースも多いのかなと感じています。
しかし、もし企業が“生産性の低さ”という課題を放置したままだと、その労務にかかる追加的な時間も多くなりますので、その労務費が結果的にお客様から発注頂く費用に転嫁されてしまっているケースもあるのではないでしょうか。
当社のデジタル化は「何よりもお客様に迷惑をかけたくない」という全員の共通認識があったからこそスムーズに進んだんだと思います。
峯岸 氏:当社の情報管理の課題感はBox導入をきっかけに改善されてきています。Boxの導入を目的化するのではなく、会社の業務全体を見た上でBoxを「手段」としてどのように位置づけていくのか?という全体設計こそ、ツールが浸透するためには大事だと思っています。
外部ツールとBoxの連携で、さらに便利に
Q: 普段の業務で使用するファイルの何割ぐらいが、現在Boxに格納されていますか?
峯岸 氏:基本は100%を目指して社員に活用方法の案内をしており、体感では95%程はデータ化できているのではと思いますね。
恒石 氏:というのも、業務プロセスの中にBoxを組み込んでいるため、業務を進めていく上でBoxの利用は避けられないというプロセスが構築できています。一方的に「使ってほしい」という想いをただ伝えるだけではなかなかツールを浸透させるのは難しいですよね。
Q: 業務でBoxをどのように使っているか具体的に教えてください。
峯岸 氏:顧客管理ツールとして使用しているCRM(Salesforce)とBoxを連携しています。取引先や商談ごとにBoxの格納先を変えたり、その中で図面管理などを分けたりとルール化しながら運用するかたちです。
今まで取引があった既存顧客に対しては、紙の図面をスキャンしてデータに置き換えていくことも同時進行で進めてきました。
データ化の作業を一気に進めるために「デジタル化推進Week」も企画しました。紙をデータ化することになるなどのメリットを地道に伝えていきながら、優先順位をつけて一気に作業を行いました。
恒石 氏:他にも、見積書を作成する場合、Salesforceの商談オブジェクトにある“見積書作成”ボタンを押すと、連携しているBoxフォルダに見積書などが自動格納する仕組みを整えました。そうすることによって、作成した見積書や発注書は自動的にBoxフォルダに格納されるようになっています。またそれらの書類は、Box Edit機能で、Box上から直接編集できるのでそれも便利ですね。
Q: 他にもBoxを使うことのメリットとして感じていることがあれば教えてください。
恒石 氏:Boxはセキュリティに対する信用が高いことや、豊富なAPI連携ができるのでさまざまなソリューションを構築できることなどが便利です。また、Boxは全体的にUIがシンプルで、直感的で使いやすいことが気に入っています。このデザインがBoxの高い利用率に寄与しているのではと感じます。
Webインターフェースを浸透させることで、Boxはより活用できる
Q: 御社はBoxのWebインタフェースの利用率が高い状況にあります。どのようにユーザへの浸透を図っていますか?
恒石 氏:繰り返しになりますが、まずは業務プロセスにBoxを組み込むことが大事かなと思います。
たとえば、SalesforceからBoxを使うと必然的にWebのインタフェースが開いたり、社内コミュニケーションにChatworkを利用しているのですが、データの共有リンクをBoxのリンクで送るなどすることで、Webインターフェースの利用が進んでいきます。
あとは、新入社員の方には、Box Driveではなく必ずWeb版の利用を勧めるようにしていることなどですかね。他には……
峯岸 氏:一番早く浸透するのは「失敗」を経験してもらうことかもしれませんね。たとえば、Box Driveで同じファイルを複数人で同時に開くと、自分が作っていた書類でも他人が作った名前の書類に置き換わってしまうことがあります。
このようにローカルにあるものと、クラウドストレージにあるもので仕組みが異なることを、失敗を通して肌で体感するのが一番早いのかなと思います。
Q: Webインタフェース利用が高いことでどのようなことが便利になりましたか?
恒石 氏:今までは、紙の図面や資料の情報を緊急で確認する場合、工事現場から会社に電話をかけて社内にいる人に図面の内容を確認する必要がありました。
ですが、データ化が進み、社外からBoxにアクセスできることになったことで、現場で直接図面や資料を確認できるようになりました。一見細かなことに思えるかもしれませんが、このような小さな時間の削減が積み重なると、最終的には大きなコスト削減になりますし、何よりも、その削減コストをお客様に還元することができますよね。
峯岸 氏:やはりここでも、Boxだけを入れたのではダメで、ChatworkやSalesforceなどを連携させているからこそ業務改善ができているのかなと思っています。
単にファイルをクラウドストレージにするだけでは最大限の機能を使えないので、他のツールとも連動させて全体の設計の中にBoxを組み込んでいくことで最大の価値が出せると思います。その上でも、Box DriveよりWeb版を使うことが大事かなと思います。
Q: WebインタフェースでBoxを使うことに社員からの反発などはありませんでしたか?
峯岸 氏:多少反発はありました。どんな人でも今までやってきたやり方をいきなり変えるのは嫌ですからね。
ですので、社内勉強会を定期的に実施して、デモ・ハンズオンで教えていくことで理解してもらう努力をしたり、必要があれば個人や部署によって案内内容を変えたりするなど、丁寧にフォローしていきました。
こういった時は、利用者の意見に寄り添いながらも、ある程度トップダウンで辛抱強く進めていくことが大事ですね。
「Business Plus」ライセンスへアップグレードした理由
Q: どのようなメリットがあってライセンスの変更が行われましたか?
峯岸 氏:やはりテスト環境の「サンドボックス」が使えることが一番の理由ですね。Boxと他のツールとの連携イメージを本番運用前に把握したかったのです。
恒石 氏:一例で説明すると、先ほどお伝えした通り、Salesforceの商談オブジェクトにある“見積書作成”ボタンを押すと、連携しているBoxフォルダに見積書などが自動格納する仕組みを作る上で、サンドボックス上で動作確認をしたかったということになります。
峯岸 氏:Boxのバリューを最大限に活用するには、テスト環境があった方がいいし、そのためにはBusiness Plusが必要という流れですね。
Boxを活用した業務改善。今後の計画について
Q: さらなる活用に向けて、今後計画されていることがあれば教えてください。
恒石 氏:今後はBoxに格納されるファイルがさらに多くなるにつれ、フォルダの階層を整理したり、より良い活用方法があると思うので改善したりしていきたいです。
「会社の戦略や事業の方向性にあっているのか?」などを定期的に棚卸しをして、Boxのデータが正しい場所に格納されているかを整理したり、構造をアップデートしたりしていく予定です。
峯岸 氏:ファイルの格納場所が各人バラバラになっていると、もし退職者が発生してしまったり、部署異動があったりする際にファイルを整理するのも大変です。
誰がファイルの中身を確認しても混乱しないように日頃からフォルダ整理しておくことが必要です。ただ、Boxはオーナー権限の移行がないので、都度変えなくていいのは便利ですね。
Q: 最後に、同じ業界や同じ職種の方に向けてアドバイスがあればお聞かせください。
恒石 氏:あくまでITツールの使用は手段であり、目的は何なのかを整理することがもっとも大事だと考えています。その目的に対してBoxやその他のツールを業務の全体設計に沿うように導入し、その後の運用を進めていくことが大事です。
峯岸 氏:新しいツールを導入する際、自分一人で解決しようとしないことも大事かなと思います。私自身、「こういうことがやりたい」と思っても、実際に組み立てていくのが大変でした。Boxに限らず、どのツールも導入すればすぐに使いこなせるわけではないので、専門業者やその道のスペシャリストに伴走支援してもらうことも最初は必要かもしれません。
恒石 氏:当社は、社内メンバーでチームを組んでツールを導入するケースが多いですが、実際はなかなか大変で、稀にトラブルが起きてしまうこともあります。
当社の場合は、ありがたいことにデジタルに強い社員やエンジニア出身者の担当者もいたのでなんとか社内メンバーで対応ができましたが、外部から情報やアドバイスを入れることで解決できることがあるかもしれません。繰り返しますが、Boxを使うことは手段であり、目的は何なのかを意識して導入すべきだと思いますね。
記載されている内容や数字、お客様の肩書きは2024年1月時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
本事例の参照資料
- 過去セミナー:【Box for Salesforce超基礎編】なにができるの?Salesforce連携
- 過去セミナー:Boxブラウザ版とBox Drive:ウェブだからこそのメリットとは
- 使い方マニュアル資料:Box Edit機能について
- ウェブサイト:Boxのライセンスの差異について
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