日々の業務内でBox活用の教育を担えるキーマンをアサイン。月間100〜150時間程の作業工数削減を実現
日々の業務内でBox活用の教育を担えるキーマンをアサイン。
月間100〜150時間程の作業工数削減を実現
Boxを導入する際に、自社の業務にどのように適用し、運用していくかをイメージすることは、Boxを使いこなす上で大きなポイントです。まずは導入し、クラウドストレージとしてのみ運用しているケースも多々あるかと思いますが、どのタイミングからでもその意識を持つことで活用シーンは大きく広がります。
そこで今回ご紹介するのは、テント倉庫メーカーとして全国で事業を展開する山口産業株式会社様の事例です。基幹システムの老朽化に伴う入れ替えのタイミングでBoxを導入し、システムのクラウド化を担当した松尾様が自社にあった運用方法をイメージしながら全体像を設計。運用後は現場への浸透に苦労しながらも、日々の業務内で教育を担えるキーマンをアサインしたことで、100〜150時間/月くらいの作業工数削減を実現しています。今回はそんな同社のBox活用事例をご紹介します。
※インタビューは全てオンラインにて行っております。
【ユースケースサマリー】
- Boxの閲覧権限の範囲を設定して運用。VPNを繋ぐ必要がなくなり、現場や外出先からでもモバイル機器から資料の確認が可能
- 建築確認申請はBoxアプリで撮影し自動で格納できるので時間短縮。管理者にも通知が届く設定
- 工務課がBoxの操作方法のトレーニングやフォローアップを担当
- Boxのクラウドは容量無制限で履歴管理もできるので、データバックアップの課題も解決
基幹システムの老朽化から、クラウドへ移行
Q: まずは御社の業務内容や松尾さんの業務上の役割を教えてください。
松尾 達磨氏(以下、松尾):1972年にテントシートの縫製工場として創業し、現在は大型膜構造物(テント倉庫・スタジアムの屋根・駅前のシェルター等)を販売から施工まで担っています。営業拠点が全国にあり、工場も全部で7ヶ所、現場の施工部隊もいるので、製造業と建築業の両方を一気通貫で担えるところが会社としての特徴です。
製造部 管理課 松尾 達磨 氏
Q: 業界共通での課題と感じられていることはありますか?
松尾:原油価格の高騰による原材料費の高騰が利益を圧迫していたり、国内の人口減の影響で技術者が減っているなどが業界の共通課題としてあります。その背景から、IT活用による生産効率の向上は必須なのですが、案件の受発注などで業界特有の決まったプロセスがないので、依然としてITが浸透していないケースも多々あります。特に、会社ごとに資料の運用方法が異なったり、施工現場の職人さんは昔ながらの紙を使った仕事が多いのが特徴です。
Q: 今回、Boxの導入前に御社内ではどのような課題がありましたか?
松尾:基幹システムの老朽化から、新しいシステムの入れ替えが必要でした。社内に複数台置いてあるサーバを経由してアプリを動かしていたので、社内の共有フォルダにアクセスする際は、毎回VPNを介すという作業があったのが課題でしたね。施工の委託会社や現場との図面のやりとりにも煩雑なフローがあったので、いつかは何とかしたいと感じていました。
また、データの中央管理ができていなかったので、資料がいろいろなところに散在していて、中には個々人のパソコンのローカルの中にのみデータやコンテンツが存在しているという課題もありました。
そこで、RFP作成に伴って管理課の私が各課の業務部にヒアリングをして問題点を洗い出し、どのようなシステムが良いのかを検討していきました。結果、これを機にシステムを変えるなら、クラウドに移行しようということになり、Boxの導入を検討することになったのです。
Q: 業務でBoxをどのように使っているのか具体的に教えてください。
松尾:まず、施工の現場では業者に図面やスケジュールを共有する際に使っています。以前は紙に図面を印刷して持参していましたが、現在はパソコンやスマホを使ってBoxにログインして、その場で確認できるようになったのでとても便利ですね。Boxの無料アカウントを作って「ここで確認できますよ」と伝えているのですが、その際に、親方にはスケジュールと図面、現場のメンバーには図面のみなど閲覧権限の範囲を設定して運用しています。
また、建築確認申請には必ず写真の添付が必要で、以前はカメラで撮影し別途メールを送り、フォルダに格納して確認するフローでした。例えば、ボトルの仮締め時に写真を撮って、メールで送り、確認ができてから本締めするなどのイメージです。現在はBoxアプリで撮影した写真がそのままBox内に格納(保存)されるので時間短縮ができて、とても作業が楽になりました。写真類が上がってきたら管理者にもメールの通知が届くように設定しているので、待っていることもなく効率的です。
Boxでこういった運用ができるようになったことで、作業員1人あたり1日10~20分ほどの時間削減ができるようになりました。製造工程の作業員は20人いるので、月に換算すると100-150時間くらいの工数削減になり、これはかなり大きな成果だと感じています。
工務課がBoxの操作方法のトレーニングやフォローアップを担当
Q: Boxを使うにあたって苦労した点はありますか?
松尾:導入前からBoxの仕組みは何となく理解はできていましたが、実際に弊社の実務に当てはめるイメージが繋がらないこともあり、自分自身で一つひとつ調べていきました。例えば、文章を読んで簡単に理解できることもあれば、APIで各種アプリが連携できることは知っていても実際にどのようなことができるのか調べていくのには時間がかかりましたね。
また、弊社の場合、年齢層高めの現場の職人さんや親方などにもアプリの使い方を教えて利用を定着させていく必要があったので、そこが難しかったところです。人数で言うと、職人さんで7〜80名、親方は4〜50名くらいいて、その一人ひとりに教える必要があったからです。実際に、リモート会議などでも操作方法などを伝えましたが、今までのやり方を変えて定着させるハードルは最初のうちは高かったですね。
Q: その課題をどのように乗り越えたのでしょうか?
松尾:弊社の工務課(施工管理担当)に、ITに明るい方がいて、まずはその人にBoxについて詳しく教えました。工務課は西日本の佐賀県と東日本の茨城県に拠点があり、職人さんたちが材料の引き取りなどで時々来社するので、その際にアプリの入れ方、ログインの仕方などの操作方法や、業務をBoxで効率化するメリットなど、基礎的なところから直接教えることができたのが良かったですね。
Boxに限らず、新しいものを使うのに抵抗がある人は一定数いるとは思いますが、まずは使ってもらうことで便利さを実感してもらうように工務課がトレーニングしたり、細やかにメンバーのフォローアップをしてくれる体制にしたのが功を奏しました。
また、私自身もBoxの使い方を全て理解しているわけではないので、まだまだ可能性を感じている状況というフェーズです。実際、未だに社内サーバは残っていて、私が入社する前から使っている富士ゼロックスのDocuWorksで社内の文章を編集し、共有フォルダに入れ、2時間置きにBoxへ格納する流れの旧システムのフローは動いており、富士ゼロックスの開発の方ともお会いしてカスタマイズを進めているところです。最近、BoxがWebブラウザでDocuWorksのプレビューに対応した点は重宝しています。今後はBox Relayの導入ができれば、その業務フローを解決できるのではと思っています。
運用に手間がかかっていたデータバックアップの課題も解決
Q: Boxを導入後、どのように業務は変わりましたか?
松尾:以前は日次で1.5TBのバックアップを行っており、1週間(7日間)で10TBくらいの容量が必要でした。Boxのクラウドは容量無制限になっているので、今は社内サーバの容量を気にしなくてよくなったのはとても助かっています。
さらには、以前はバックアップ作業中にデータが壊れてしまうことも時々あったので、Boxでファイルの履歴管理ができるようになって安心しています。移動先がわからなくなったり、誤ってファイルを削除しても履歴がわかるのは管理する側からすると心強いです。
業務の効率面はもちろんですが、運用・管理面の観点からの安心感による負荷軽減の効果も実感しています。
Q: 一緒に仕事をされている方からの反応はいかがですか?
松尾:Boxに関しては評価が高いですね。その背景として、まず全てのデータが常にBoxにあるという状態ができているのが大事だと思っています。社内外の情報共有はChatworkを活用していて、営業部の連絡手段はBox for Googleworkspaceをメインに使っており、他に取引先(名刺)管理はsansanで売上分析や販売促進などはSalesforceにと、連携アプリやサービスがいっぱいあればあるほどBoxが力を発揮すると感じています。
また、資料や図面を見るときにわざわざVPNを繋ぐ必要がなくなり、外出先でもモバイル機器を使って確認できているので、手間が大きく省けています。
以前は紙の図面を現場に持っていくのを忘れて、近くのコンビニに駆け込んで印刷していたこともありましたが、今は現場でタブレット端末を開いて見られるので、ペーパーレスになり、忘れ物もなくなりました。
Boxで何ができるかイメージすることの重要性
Q: 今後さらなる活用に向けて計画されていることがあれば教えてください。
松尾:自社内に設置しているサーバーを無くすと同時に、社内共有フォルダも無くし、Boxで一元管理できるようにすることが目標です。また、受注受付フォルダにコンテンツが格納されたら所定フォルダに移動して担当者に確認させるなどのワークフローをBox Relayで構築できれば、だいぶ理想の運用スタイルになると思っています。
Q: 最後に、同じ業界や同じ職種の方に向けてアドバイスがあればお聞かせください。
松尾:Boxを管理する担当者は、はじめに自社の業務にどのようにBoxを適用するかをイメージするのが大事かなと思います。わからないことがあれば、まずは自分でWeb検索して触ってみて、「こうやれば正解なんだな」と理解していくのが近道だと思います。また、文章だけではなく、図に書いてイメージを共有するようなことを意識しています。
例えば、現在はBoxがハブになり、いろいろなアプリやサービスと連携しています。そういった便利な機能を自身の業務に当てはめる作業工程で、図に書いてイメージし(自社のユースケースを発見すること)、その上で販売代理店などとディスカッションしながら設計していくといいですね。
最後になりますが、個人的にはBoxが連携できるアプリケーションを使った活用事例がこの記事のようにいっぱい紹介されると嬉しいので、ぜひ私たちの使い方も参考にしてみてください。
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