業務効率化や生産性向上に関する情報に目を通したとき、「一元管理」という言葉をよく目にします。しかし、一元管理について理解をしているとは言えないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、本記事では一元管理の意味や、取り入れるメリットなどについて詳しく解説していきます。
一元管理とは
一元管理とは、企業や組織で扱っていた様々な情報を1ヶ所に集約し、統一されたポリシーや方法で適切に管理を行うことを指します。たとえば、営業部署が保有する顧客情報や、経理が保有している顧客別の請求書情報など、複数の部署にまたがって管理していたデータを1つのシステムに統合して管理します。
1ヶ所に集約するだけではなく、過去の履歴や関連情報なども必要に応じてリアルタイムで抽出できる状態で管理を行うのも特徴です。また、一元管理によって組織内で横断的に情報という経営資源を活用できる環境が整い、その結果として業務効率化が実現します。
一括管理との違い
一括管理とは、各部署や担当者が管理していたデータを1ヶ所にまとめて保管することです。これだけ読むと一元管理と同じに思えるかもしれませんが、一括管理では管理の手法が統一されていません。
たとえば、クラウドストレージに営業のファイルや経理のファイルを作成し、それぞれのルールで管理している状態が一括管理です。一括管理には、お互いの情報に断りを入れてからアクセスをする状態や、アクセス権限が部署の人に限られている状態での運用体制が該当します。個別最適はされているかも知れませんが、全体最適はされていない状態とも言えます。
一方、一元管理では組織内のさまざまな情報を統一した方法で管理します。規則が統一されているため、情報の検索が容易で、なおかつ垣根を超えて情報を利用できる点で一括管理と一線を画します。
一元管理すべき情報
企業が一元管理すべき情報は、ヒトとモノ、カネ、技術・ノウハウと言われています。これらの情報を一元的に管理することで、業務効率化や情報の有効活用が実現します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ヒト
ヒト・モノ・カネは企業にとって重要な経営資源と言われています。その中でも、人材を意味するヒトは、企業にとってもっとも重要な経営資源といえるでしょう。ヒトに関する情報とは、従業員で構成される組織の管理に関する情報であり、勤怠や労務管理、採用や評価などの人事、給与関係などが挙げられます。これらを一元管理すると作業効率の向上や、現状分析の迅速化など業務の円滑化や適所適材化につなげられます。
モノ
モノとは、自社で生産している商品や創出しているサービス、在庫、導入している設備などの資産を指します。注文や在庫に関する情報もモノに該当します。モノを一元的に管理できれば、部署やオンライン、オフラインを横断して在庫を正確に把握できます。顧客からの問い合わせにもスムーズに対応でき、余分な仕入れをしてしまうリスクや機会損失も回避できるでしょう。
カネ
売上や利益率、原価率など事業活動に関連するお金の情報です。カネに関する処理は企業の利益に直結するため、失敗は許されません。しかし、カネの処理業務はやることが多く、煩雑であるため、ミスが生じやすいのも事実です。
たとえば、一元管理によって販売管理と会計システムを連携すれば、煩雑な業務の効率化が可能です。帳票も発行できる、一元的に管理できるようにすれば、人為的なミスの削減にもつながるほか、作業時間も短縮できます。
情報
ここでの情報は、企業が有する技術やノウハウを指します。これらの情報を一元管理できれば、組織内で容易に共有でき、属人化を回避できるメリットがあります。たとえば、顧客情報を組織内で横断的に利用できれば、担当者が変わったときもスムーズに対応できます。顧客の属性やニーズも共有できるため、誰が担当しても市場ニーズに合った製品やサービスの開発に満足度の高いアプローチをすることが可能です。
一元管理による4つのメリット
一元管理の導入は様々な恩恵をもたらします。ここでは一元管理によるメリットを4つに分類して解説していきます。
業務効率化
一元管理のメリットのひとつが業務効率化です。一元管理がされていない状態では、他部署へ足を運ぶ、担当者を探すといった手間が発生します。他にも紙媒体で管理している企業の場合、求めている情報を探す単純作業に時間を取られてしまいます。このように複数の部署や担当者で情報を管理していると、必要な情報をすぐに取り出せません。コクヨの調査によると、書類を探す時間は年間80時間にものぼると言われています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000023621.html
一元管理によって業務に関連するあらゆる情報が1ヶ所にまとまっていれば、このような手間を削減できます。単純作業がなくなり、必要な情報をすぐに抽出できる体制も整います。
情報の活性化
有益な情報をたくさん保有していても管理状態が不適切では活用できません。そうした環境下で一元管理を導入すると、有益な情報を活用できる環境が構築されます。
たとえば、社員の評価や面談内容などの情報を一元管理できれば、当該情報を比較検討して適所適材への配置転換を行えます。個々の力を最大限に活かせるポジションに配置できれば、同じ人員でもモチベーションもあがり、生産性は段違いに向上するでしょう。
また、社員全員が必要な情報にすぐアクセスできる環境を構築すれば、誰もが平等に情報を入手できます。社員間の情報格差が改善され、意思決定のスピード向上や新しいアイデアの想起やイノベーションにもつながるでしょう。
手間・コストの削減
複数の場所で情報を管理した場合、電気代や人件費、維持管理費などが部署ごとに発生してしまいます。しかし、一元管理に切り替えれば、コストの削減を推進できます。
また、アナログな業務では、ファイリングの場所や参照情報を誤るヒューマンエラーを払拭できません。また、それらによって引き起こされるクレーム対応や、管理の定期的な是正といった対応が求められることもあるでしょう。一元管理によってアナログ業務で発生していたミスが減ることで、全体的な業務のスピードがアップしたり、クレーム対応が減少したりといった直接的ではない効果も期待できます。
セキュリティ
あちこちに情報が分散していると、管理ポイントが増え、企業や組織が目指すセキュリティや情報ガバナンスのポリシーを行き渡らせることは至難の業です。部内の個人がボランティアで運営しているものやデジタル化していたとしても、好きにできてしまうがゆえに便利さ優先のシャドーITが蔓延することも往々にしてでてきます。また、情報漏えいがあっても、外部から指摘されるまでわからなかったということも実際に起きています。
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一元管理を行うには何が必要?
アナログな手法で一元管理を行うことも不可能ではありませんが、ヒューマンエラーを避けることができず、コストの削減も限定的です。こうしたデメリットを避けて一元管理に取り組む場合は、一元管理システムの導入がおすすめです。
現在、さまざまな一元管理システムがリリースされており、費用や機能もそれぞれ異なります。さまざまな部分を比較しつつ、自社にマッチしたものを選定しましょう。
どういった情報を一元管理するのか、導入するシステムで扱いやすいように情報の形式を定めるのもポイントです。また、職場にきちんと浸透させるには、一元管理システムの導入について目的の共有を図る工夫も必要となるでしょう。業務を担当している社員からすると、どうして今までの管理ではダメなのかと疑問や反発を抱いてしまう可能性もあるため、きちんと目的の共有やメリット、企業や組織として行うべきことを説明することをおすすめします。
まとめ
一元管理の導入により、業務効率化や手間、コストの削減、情報の活性化とセキュリティ強化などさまざまなメリットを得られます。この機会に、一元管理の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、多様な働き方を行うニューノーマルであればこそ、一元管理にはシステムの導入がおすすめです。システムによってはトライアル期間が設けられているものもあるため、そのような製品なら導入前に操作性や機能性を確認できます。自社の社員が使いこなせるかどうかも考慮しつつ、一元化す
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