コンテンツはあらゆる企業の生命線であり、意思決定、ワークフロー、そして業界をまたいだコラボレーションを支えています。しかし、こうした情報の多くは構造化されていない形式に保存され、さまざまなシステムに散在しているので、そこから有益なインサイトを引き出すことは困難です。企業は、手作業によるコンテンツのタグ付け、整理、ビジネスアプリケーションとの連携に膨大な時間を費やしています。本来は、その時間をイノベーションの推進に充てるべきです。
Google Cloud Next 2025において、BoxとGoogle CloudがAIを活用したメタデータ抽出でこの課題を解決します。Google Gemini AIモデルとGoogle Agentspaceとの密接な連携を活用することで、企業はインサイトを自動的に抽出し、コンテンツを分類し、メタデータをSalesforce、BigQuery、Vertex AI Searchなどの主要なビジネスシステムとシームレスに連携できます。
GeminiによるAIを活用したインサイト
BoxとGoogle Cloudのパートナーシップの中核をなすのは、Geminiモデルファミリーです。BoxはGemini 2.0 Flashを活用して、プラットフォーム内に保存されているコンテンツから貴重なビジネスデータを抽出し、組織全体のファイルを驚異的なスピードと効率で処理します。この機能はリリース以来、何百万回も利用され、急速に最も人気のあるAI活用機能の1つになりました。Gemini 2.5 Proのようなイノベーションは、高度な推論と自動化の限界を押し広げる新たな機会を提供します。企業がインサイトを引き出し、最も価値のある情報に基づいてよりインパクトのある行動を起こすことを加速させます。
Box AI抽出エージェントは、Boxのエクスペリエンスにネイティブに組み込まれており、Enterprise Advancedプランのお客様にご利用いただけます。ボタンをクリックするだけで、長くて密度の高いドキュメントや画像から重要な情報を瞬時に抽出し、情報の正確性を検証してメタデータに保存し、コンテンツと一緒にすぐに利用できます。
- 営業部門は、契約書にメタデータを付与して、メタデータを使用してAIエージェントに情報を提供したり、重要な情報をCRMと連携したり、営業ワークフローを自動化できます。
- 金融サービス会社は、財務ファイルと顧客ドキュメントを分析してギャップを特定し、顧客のオンボーディングを迅速化できます。
- グローバルな旅行代理店は、さまざまなファイル(航空会社、言語など)から重要な詳細情報を抽出し、それらを社内の旅行システムと連携できます。
- 総務部門は、請求書からメタデータを抽出し、処理を自動化して、ベンダーのライフサイクル管理を効率化できます。
- ライフサイエンス企業は、臨床試験からインサイトを抽出して、製品開発の効率化に役立てることができます。
Box AIの抽出機能は一般提供を開始しており、すでに両社の大手顧客から強い関心が寄せられています。たとえば、Miller Tanner & Associatesは、Box AI抽出エージェントを活用することで、年間800時間以上の時間を節約しています。
Google AgentspaceとAgent2Agent Protocolによるエージェント型エンタープライズワークフロー
Boxは、Google Cloudとの密接なパートナーシップに基づき、Google Agentspaceと連携して、企業のコンテンツの利用方法をさらに変革します。Agentspaceは、組織がテクノロジースタック全体でエージェントとデータを接続できる相互運用可能な基盤を提供し、エージェント間のリアルタイムのダイナミックなコラボレーションをサポートします。Boxのインテリジェントコンテンツ管理(ICM)プラットフォームとAgentspaceのエージェントエコシステム、そしてGoogle Agent2Agent(A2A)プロトコルを組み合わせることで、これまでサイロ化されていたシステム間で連携、自動化、そしてインテリジェントなビジネスインサイトを提供できます。BoxとGoogle Cloudは共に、企業が孤立したAIのユースケースを脱却し、複雑なプロセスをオーケストレーションし、コンテンツの可能性を最大限に引き出すことを支援します。
AgentspaceとBoxのデータ コネクタを介して、BoxのコンテンツをAgentspaceのデータソースとして参照できるようになりました。これにより、Boxのコンテンツを他のビジネスデータと一緒に表示し、AIを活用したワークフローとシームレスに連携できます。Boxは今後、GoogleのオープンソースAgent-to-Agent Protocolを活用して、プラットフォーム間にわたるエージェント間のダイナミックなコラボレーションを可能にする独自のエージェントをAgentspaceに公開する予定です。これにより、まったく新しいシステム横断的なワークフローが実現し、コンテンツからインテリジェンスを引き出すだけでなく、Agentspaceエコシステム全体にわたって複雑なビジネスプロセスをオーケストレーションできるようになります。
- 保険代理店は、Box内のコンテンツから情報を引き出し、それを独自のデータと組み合わせて決済レポートを生成することで、請求処理を迅速化できます。
- マーケティングマネージャーは、Box内のアセット、Webからの公開情報、社内の営業情報を活用して、新しい提案資料を迅速に作成できます。
- 営業部門は、Boxから契約条件を抽出し、CRMの情報と組み合わせて分析と計画をリアルタイムに作成することで、契約更新を効率化できます。
Slalomとのパートナーシップ
変革を成功させるには、テクノロジーだけでは不十分で、適切な戦略と実行が不可欠です。そのため、BoxとGoogle CloudはSlalomと提携して、Intelligent Content Acceleratorを導入します。これはBoxのインテリジェントコンテンツ管理(ICM)、Google CloudのAIとインフラストラクチャ、そしてSlalomのコンサルティングの専門知識を組み合わせたソリューションで、企業がコンテンツの可能性を最大限に引き出すことを可能にします。
Intelligent Content Acceleratorを使用すると、コンテンツの構造に関係なく、組織のコンテンツをよりスマートに処理できます。Intelligent Content Acceleratorから誕生した最初のソリューションの1つが、コンテンツ生成です。Box AIの抽出エージェントとSlalomが構築したテンプレート、そしてGoogle Cloudのドキュメント生成を組み合わせたシームレスなワークフローにより、日常的な成果物作成作業を自動化できます。毎週のリーダーシップアップデート、四半期ごとのロードマップ資料、営業RFPのすべてをボタンをクリックするだけで自動生成できるとしたらどうでしょう。将来的には、Intelligent Content Acceleratorは、Boxに保存されているコンテンツに基づいて、ビジネスに関するインサイトをプロアクティブに提供することもできるようになります。Intelligent Content Acceleratorを使用すれば、コンテンツ全体でAIの力を簡単に活用して、インサイトを導き出し、日常業務を自動化し、複雑なワークフローを効率化できると同時に、エンタープライズレベルのセキュリティとコンプライアンスを確保できます。
Intelligent Content Acceleratorのご利用については、slalom@box.comまたはBox Japan担当営業までお問い合わせいただき、コンテンツ管理方法の変革についてご相談ください。
最後に、Boxが2025年のGoogle Cloud Global Partner of the Year for Applicationsに選出されたことを大変光栄に思います。この賞は、AIで企業コンテンツを変革するというBoxとGoogle Cloud共通のビジョンの証です。この賞は、両社共通のビジョンの証であるだけでなく、企業がよりスマートに、より迅速に、より安全に業務を遂行できるように支援するAIを活用した革新的なソリューションを提供するという、Boxのコミットメントをあたらめて現わすものでもあります。
企業が膨大な量のコンテンツを生み出し続ける中で、インサイトを引き出し、ワークフローを自動化し、AIを活用したインテリジェンスを統合する能力は、かつてないほど重要になっています。BoxはGoogle CloudおよびSlalomと協力して、企業のコンテンツ管理の可能性を再定義し、非構造化データを競争優位性へと変えていきます。
※このブログは Box, Inc 公式ブログ(https://blog.box.com/)2025年4月9日付投稿の翻訳です。
著者:Vishal Naik, Head of Product Marketing, Platform at Box
原文リンク:https://blog.box.com/google-cloud-next-2025-how-box-and-google-cloud-are-transforming-enterprise-content-ai
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