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企業はパンデミック対策をどのように実施すべきか?その基本を解説

 公開日:2020.11.05  更新日:2023.04.18

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新型コロナウイルスの流行は、個人や家庭にとどまらず、企業にも多大な影響を及ぼしています。事業の継続や従業員保護のために、企業のパンデミック対策にも注目が集まっています。そこで、企業がパンデミック対策を行うべき理由や、その具体的な方法について詳しくご説明します。

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パンデミックの脅威と影響

「パンデミック」とは、伝染病や感染症が全国的または世界的に大流行し、感染者や患者を大量に出してしまう状態のことです。まずは、パンデミックがどのように深刻な影響をもたらすとされているのか、見てみましょう。

パンデミックの脅威

パンデミックの脅威について知るうえで参考となるのが、実際に発生した過去の事例です。「1918年パンデミック」と呼ばれる「スペイン風邪」は、第一次世界大戦中に猛威を振るいました。世界人口のおよそ半数もの人が感染したと言われており、死者は世界で4000万人以上にも上りました。

記憶に新しい事例としては、2002年に流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」や、2009年の「新型インフルエンザ」などが挙げられます。「SARS」は9ヶ月でおよそ8000人の患者を出し、800人近くの人が亡くなりました。2009年の「新型インフルエンザ」の影響は広範囲に及び、世界中で214もの国・地域に広がったと報告されています。

2020年現在においては、「新型コロナウイルス(COVID-19)」の感染が世界中で拡大し、多大な影響を及ぼしています。

パンデミックが社会にもたらす影響

パンデミックが社会にもたらす主な影響として、まず考えられることは事業硬直・業績悪化です。入国制限措置や外出自粛要請などがあると、航空産業や飲食産業、ホテル・旅館などは直接的に大きな影響を受けます。そこからさらに、需要の減退や買い控えなどにより、製造業や販売業も規模の縮小を余儀なくされるかもしれません。特に輸出入が関係する製造業では、貿易量の水準低迷によって、深刻な状態に陥る可能性があります。

このように多くの業界が一度に打撃を受けてしまうと、その影響によって、個々の事業はさらに悪化します。実際、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの業界で経済活動を抑制され、企業収益は大幅に悪化しました。

こうした社会的不安や景気の悪化は、経済損失による失業者増加なども引き起こし、治安悪化へもつながります。また、医療従事者間の感染拡大により、医療サービスがうまく機能しなくなったり、生活必需品を含めた物資が不足したりするなどの事態も起こりかねません。

パンデミック対策を行うべき理由

伝染病や感染症の広まりを抑えるためには、当然ながら個人レベルで対策することがとても大切です。しかし、それに加えて企業がパンデミック対策を実施することにも大きな意義があります。

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ウイルス感染は被害拡大が予測できない

ウイルス感染に関して、今後の被害拡大状況を予測することは大変難しいことです。特に、そのウイルスが新型である場合、病気そのものについてまだ知られていないことも多いため、正確に予測することはさらに難しくなります。

実際に、今回の新型コロナウイルスも、当初は「季節性のもの」とする見解もありました。ところが、気温の高い夏を過ぎたあとも収束せず、むしろ多くの国で感染が拡大している傾向があります。未知の部分が多く予測できないからこそ、影響を軽視するのではなく、しっかり対策することが必要です。

企業の法的義務と社会的責任

企業の法的義務や社会的責任という観点からも、パンデミック対策はとても重要です。例えば「労働契約法」第5条には、雇用主に求められることとして「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」とあります。企業が適切な対策を取らなかった結果、従業員が感染したり感染を拡大させたりした場合、その企業は社会的責任を問われることになるでしょう。

事業の継続または早期復旧のため、各企業ではBCP(事業継続計画)策定の必要性が高まっています。「BCP」とは、パンデミックや大災害、テロ攻撃などの非常事態に見舞われた際に、事業を継続させる手段や方法を前もって決めておく計画のことです。これまで、BCPはほとんどの場合、地震を中心とした自然災害を想定し策定されてきました。しかし、感染症の流行に備えるためには、パンデミックも視野に入れた内容にアップデートする必要があります。

企業が取るべきパンデミック対策

では実際に、企業はどのような対策を取ればよいのでしょうか。特に新型コロナウイルスにおいては、「飛沫感染」と「接触感染」が主な感染経路であるとされているため、衛生管理はもちろんのこと、人との接触を避けることも効果的です。ここでは、企業が講じるべき具体的な対策について見ていきましょう。

接触・飛沫感染対策

まず、接触・飛沫感染を防止するための対策を取ります。接触感染は、感染者がウイルスや病原菌の付いた手で、周囲に触れることによって生じます。これを防ぐために、手洗い・うがいの徹底を励行し、洗面所には石けんやハンドソープを設置しましょう。職場の出入り口にアルコール消毒液を設置して、手指を消毒することも効果的です。特にドアノブやパソコンなど、皆がよく触る場所は、こまめに消毒して清潔に保ちましょう。

飛沫感染を防止するためには、マスクの着用を義務化するという手もあります。社内で着用を義務化する場合は、会社でマスクを配布するとよいでしょう。会議室に人数制限を設けることも有効かもしれません。接客業の場合は、「お客様を感染から守るため」という理由を記載し、掲示物などでマスク着用による接客についての理解を求めることが得策です。執務空間を定期的に換気し、空気を入れ替えることも効果的でしょう。

間接的な感染対策

より徹底的な対策を講じるのであれば、間接的な対策案も盛り込みましょう。例えば、フレックスタイム制や時差出勤を導入するなどして、通勤時間を分散すれば、通勤時の人混みを回避できます。可能な場合には徒歩や自転車通勤の推奨により、満員電車に乗るよりも感染リスクは低くなります。

不要不急の出社や定例ミーティングを見直し、削減することも有効です。複数の人が密室で長時間話し合うことは、感染リスクが高い行動とされています。習慣として開催されているミーティングがあるなら、本当に必要かどうかを見直し、時間を短くしたり回数を減らしたりなどの検討も行いましょう。Web会議ツールを導入し、オンラインでミーティングを開催することも一つの手です。

同様に、不要不急の出張も控えましょう。飛行機や新幹線などを使った長距離移動では、狭い空間で不特定多数の人と過ごすことになります。感染拡大している地域から別の地域へと移動すると、ウイルスを運んで感染拡大を促進してしまう恐れがあるのです。その反対に、感染者が出ていない地域から大都市圏へ移動する場合も、移動者の感染リスクが高まるので注意を要します。

テレワークの導入

政府が推進する「働き方改革」の一環であるテレワークも、パンデミック対策に効果的です。テレワークを導入して従業員が自宅で勤務すれば、通勤やオフィス内での濃厚接触を削減し、感染を抑えることにつながります。出社する従業員の数が減れば、それだけ感染リスクを下げられるので、全員で実施できない場合でも、可能な範囲で取り入れることは大切です。ウイルスをゼロにすることは非常に難しく、全社員がテレワークできる環境を整えていくことも求められます。その中には、ITはもちろん、制度の変更や企業文化の醸成も含まれます。

テレワークはパンデミックや大災害などの非常事態だけでなく、平時の労働環境改善においても有効な施策です。普段から実施していないと、非常事態にうまく機能しない恐れもあるため、日頃から実施して災害時にも備えるようにしましょう。

職種によっては、テレワークの導入が難しい、または不可能なことがあることも事実です。その場合も、出社人数をできるだけ減らせるよう、業務遂行するために必要な最低人数を把握し、少ない人数で効率よく業務を回せるように備えておくことが大切です。

事業継続計画(BCP)のアップデートと周知

事業を継続して行うためのマニュアル作りとして、BCP対策をアップデートし周知しておきましょう。パンデミックなどの非常事態に備えるためには、それが発生した際の連絡方法や、緊急時の体制を構築しておくことが重要です。

すでにBCPが策定されている場合でも、パンデミックに対応しているかどうか再確認しておくことは欠かせません。日本では自然災害を想定して計画されることが多いですが、今のうちに、パンデミックにも対応したものへアップデートしましょう。このほか、各部署の責任者や従業員の緊急連絡先なども、最新情報に更新されているかどうか確認しておきましょう。

テレワークも含んだ就業規則への見直しや、それらを社内全体に周知させる体制作りも必要です。感染症にかかった場合に何日間休むべきかなど、一定のルールがないと、例えば従業員は出勤・欠勤の判断にすら迷ってしまいます。パンデミック時に従業員の認識を一致させるようなルールを決め、それを周知徹底しておけば、混乱を避けられるでしょう。

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まとめ

企業がきちんとしたパンデミック対策を講じれば、感染症の流行時にも見えない脅威に屈することなく、事業を継続しやすくなります。平時でもテレワークや時差出勤などといった多様な働き方ができる環境を整えておけば、職場はより働きやすい場となり、従業員の満足度も向上します。パンデミック対策を一時的な対応として済ませるのではなく、企業体質を強化する絶好の機会と捉え、対策見直しを行いましょう。

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