ワークフローシステムの導入を検討しているものの、具体的なメリットや選定基準がわからず迷っている方も多いことでしょう。そこで本記事では、システム導入のメリットや選び方のポイントについて解説します。システム導入により自社の業務改善を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ワークフローシステムとは
はじめに「ワークフロー」とは、業務における一連の流れのことです。具体的な例をあげてみます。経費精算や物品購入申請などの業務を図式化すると、ワークフローの処理内容には、大きく分けて申請・承認・決裁の3つがあり、これらをシステム上で管理・処理できるようにした仕組みが「ワークフローシステム」と呼ばれます。各フローの処理ごとに担当者が決められているのが通常です。従来はガッツリ開発が必要なヘビーデューティなものが大半でしたが、昨今、よりライトウェイトなものも使われるようになっています。
ワークフローシステムの導入メリット
ワークフローシステムを導入するメリットとしては、大きく4点が挙げられます。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務効率の改善が見込める
1つ目のメリットは、業務効率の改善が見込めることです。
たとえば、申請を紙文書で手続きする場合、申請書の記入や発送、さらに不備による手戻りと再申請の膨大な手間と時間が発生します。ワークフローシステムであれば申請書の電子化やオンライン化が可能なためシステム上で手続きを完結でき、こうした手間が最小化できます。
それだけではなく、回覧的なワークフローも企業や組織には多く存在します。メールで通知するのがほとんどだと思いますが、その場で確認ができずメールに埋もれてしまい確認ができなくなってしまったという経験は誰でもあると思います。こういったメール回覧も確認すべきコンテンツをワークフローで回せば、メールに埋もれることもなく業務効率化も図れます。
また、システム上から過去のデータを検索して再利用したり、他システムとデータを連携したりできることから、無駄な入力を省けるメリットもあります。
どこからでも申請・承認できる
2つ目のメリットは、オンライン上で手続きが完結させられることから、どこからでもアクセスして申請・承認を行えることです。出張中はもちろんのこと、隙間時間や移動時間なども有効活用できるため、承認や決裁までの大幅な時間短縮が見込めます。
また、場所や時間に縛られずに業務を進められる点から、テレワークやコワーキングスペースでの仕事といった、ハイブリッドワークや働き方改革にもつながります。
ペーパーレスによるコスト削減効果がある
3つ目のメリットは、ペーパーレスが促されコスト削減につながることです。申請に紙を使わないため、用紙代や印刷費用、FAXの通信費や郵送費なども抑えられます。
また、申請書が電子化されることによって、紙文書で発生していた管理上のコストや負担も削減できます。キャビネットといった保管スペースの確保やファイリングといった手間も必要なくなるため、省スペース化や人的リソースの最適化をも図れるでしょう。
内部統制の強化につながる
4つ目のメリットは、内部統制の強化につながることです。ワークフローシステムの導入によって申請から承認、決裁までのルールをシステム化することで、ルールを順守した業務遂行が促されます。これにより、ルールに反する人為的ミスの発生を防止できます。
また、申請書などの証跡や決裁履歴(ログ)は、システムから確認が可能です。システムで処理すれば、紙文書のように書類が改ざんや不当な破棄、またコピーされるリスクを抑えられる、またはそれらの行為の履歴が残るため、コンプライアンス強化にも寄与します。
ワークフローシステムを比較する際のポイント
ワークフローシステムには数多くの種類があり、何を基準に比較すべきかわからないという方も少なくありません。ここでは、システムを比較する際に着目すべき3つのポイントをご紹介します。
クラウドかオンプレミスか
オンプレミス型は、社内に専用サーバーを設置して運用するタイプです。自社のワークフローに合わせた柔軟なシステム構築が可能なため、承認経路が複雑な場合でも、独自フォーマットの作成により対応できるメリットがあります。
対してクラウド型は専用サーバーを設けず、クラウドサービスを利用するタイプです。オンプレミス型と比べて初期費用を抑えられるうえ、導入後すぐに運用できるメリットがあります。どちらが一概に優れているとはいえませんが、複雑なワークフロー構築を考慮しない場合は、昨今ではクラウド型を検討するのがおすすめです。
自社の用途に合った機能が搭載されているか
ワークフローシステムを比較する際は、使える機能の確認も大切です。たとえば、物品購入の金額に応じて承認者が異なるワークフローの場合、金額ごとにフローを判別する機能が欠かせません。あらかじめ自社の課題を洗い出しておき、それらを解決できる機能が備わったシステムを選択しましょう。
一方で単純なワークフローのみ扱う場合、シンプルな機能が備わったシステムを選ぶのがおすすめです。多機能なものほどコストが増すうえ、使わない機能が出てくることで、無駄なコストまで発生しかねないためです。さらに、単純なワークフローのみの場合は、ワークフローをセルフサービスで作成できるかといった点も重要となります。単純なワークフローなのに、都度開発が伴うといった製品だとビジネススピードに開発が追いつかず、使われないシステムとなりかねません。
既存システムと連携できるか
ワークフローシステムには、社内で使用している既存システムと連携できるものがあります。連携できるシステムには、たとえば以下のようなものがあります。
- グループウェア(組織内のコミュニケーションツール)
- 経費管理システム
- チャットツール
- 人事システム
- コンテンツ管理
システムを連携することで、承認完了の連絡をチャットツールで確認できるようになるなど、ワークフローをより効率的に運用できるようになります。また、連携したシステム内のファイルやコンテンツから自動申請できるのか、決裁後にそれらは自動保存されるのか、上書きされてしまうのかバージョン管理されるのかといった機能の確認も大切です。
ワークフローシステムを導入する際の注意点
ワークフローシステムには多くのメリットがありますが、導入に際しては注意事項もあります。導入後に後悔しないためにも、以下の2点をしっかりと押さえておきましょう。
ツール導入で解決したい課題を明確にしておく
導入にあたっては、解決したい課題や業務を明確にしておくことが重要です。課題がうやむやなまま導入しても、システムのメリットを十分に活かせないからです。運用するワークフローや用途に合ったシステムを選ぶために、前もって自社の課題を洗い出しておきましょう。
また、法律によって定められた手続き・申請業務などへのシステム適用には、注意が必要です。書類の原本提出が必要な場合、電子化した書類で対応するにはワークフロー以外にタイムスタンプが必要だったり、そもそも真実性の担保がされているシステムで保存されていることが必要だったりすることがあります。こういった点からも導入する目的や用途、要件を明確にしておく必要があります。
ワークフローの見直しも同時に行う
システムの導入に伴い、ワークフローの改善も検討してみましょう。フローそのものの見直しを図ることで、業務プロセスの改善が見込めるからです。たとえば、申請から決裁までの承認ルートが必要以上に複雑化していたり、特定の承認者が内容をすべてチェックしたりしていると、業務効率を大きく損ねてしまいます。無駄な承認プロセスや1人あたりの業務負担を減らすことで業務効率化につながり、ひいては生産性の向上が期待できます。
コンテンツクラウドでもワークフローの作成が可能!
特定業務だけの効率化ではなく全体最適化の視点でワークフローをシンプルに運用したい場合、コンテンツクラウド「Box」を利用する方法があります。
業務に必要なコンテンツを作成し、複数人でチェックして完成するというフローはほぼ必ずあります。ワークフロー完了後に、リファレンスとして文書を保管することも必要です。文書を一元管理する基盤のBoxと、コンテンツにひも付いたワークフロー機能「Box Relay」を一緒に使うと、準備からワークフローそして保管、保存まで全体を効率化できます。またBox Relayでは、ワークフローをセルフサービスで作成できるため、専門知識をもたない人でも直ぐに簡単に始められるのです。ドラフトして関係者に回覧、最後に上司が承認して実利用するといった、業務コンテンツの作成から共有、保管までメールに依存することなくスムーズに回ります。
まとめ
ワークフローシステムは場所にとらわれず申請・承認業務を行えるうえ、業務効率の改善やコスト削減、内部統制の強化といった効果も期待できます。しかし、やみくもに導入しては十分に活かせない可能性もあるため、解決したい課題や目的、用途をはっきりさせたうえで導入することが大切です。
また、ワークフロー自動化と共に社内全体の業務効率化が目的であれば、今回ご紹介したBoxを活用する手もあります。業務軸での見直しと同時に、業務コンテンツの軸でワークフローを見直してみると抜本的な業務改善が行えるかも知れません。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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