業務改善は、一般的に「既存のプロセスの中から「ムリ/ムダ/ムラ」を排除して作業効率を向上させる」ことです。そのためには仕事を進める上で必須とも言えるITツールが必要不可欠です。ある程度の導入コストがかかることもありますが、戦略的にITツールを導入することで業務改善を効率的に行うことは現代の必須要件となりつつあります。また、ITツールによる業務改善は即効性と確実性という面で優れているため、投資対効果を短期間で最大化することも可能になるのです。
ここでは、ITツールを使った業務改善術についてご紹介します。現在の業務が忙しすぎて残業を減らすことができない、非効率的な業務に辟易としている、働き方改革を推進する必要がある、などの悩みを持っているのであれば、今回ご紹介する業務改善法からヒントを得ていただければと思います。
ITツールを使った業務改善の特徴
一般的な業務改善は、既存のプロセスに隠れている問題点(主にムリ/ムダ/ムラ)を洗い出して、その問題を解決するためにプロセスを組み替えたり、繋げたりする作業です。特別なツールは不要ですし、施策がはまれば効果は永続的に続きます。そのため、ほとんどの企業はこうしたマニュアル的な業務改善に取り組みます。
それ自体が悪いわけではありませんが、そうした業務改善は必ずどこかで効果が頭打ちになってしまいます。その理由は人の力だけで実現できることは限られているからです。更なる効果を出すために、デジタルテクノロジーを利用するのです。
では、ITツールを使った業務改善は従来のそれと何が違うのでしょうか?
最も大きな違いは「特定の分野において非常に高い成果をあげられる」ことです。ITツールというのは大まかな用途が決まっていますので、ITツールを導入することで得られる成果というのも予測がつきやすい特徴があります。あとは、どのように運用するかによって成果の度合いが違ってきます。上手くいけば非常に高い成果をあげられますし、成功するためのノウハウも数多く蓄積されているので、ITツールを使った業務改善は比較的容易であるという特徴があります。
また、意外と見落としがちなメリットが「業務改善に費やすコストが明確」ということです。従来のITを活用しない業務改善はコストがかからないように思えますが、人材コストという貴重な資源を投じなければなりません。ハッキリと目に見えた形ではなくても、想像以上のコストがかかっているということを理解する必要があります。
それに対してITツールにかけるコストは明確なので、投資対効果はどれくらいか?などを数値で表現することができます。
ITツールを使った業務改善術
それではITツールを使った業務改善についていくつかご紹介します。
クラウドストレージ編
昨今のITツールの代名詞と言えば「クラウドストレージ」です。これは、ビジネス上で使うファイルデータを保存するためのストレージを、インターネット上で提供するサービスのことを指します。すでに社内に設置されたファイルサーバーは時代遅れになりつつあります。社内だけではなく、社外とも共同プロジェクトが頻繁に行われる昨今、企業はクラウドストレージを活用することで、社内外で共有するファイルを外出先や在宅環境からもアクセスでき、ファイルの受け渡しもセキュアでかつ容易になると多くのメリットを享受できます。
総務省が毎年発表している情報通信白書によれば、半数以上の企業はクラウドサービスを利用していて、その中で最も多く利用されているのがクラウドストレージです。ファイル共有スペースをインターネット上に用意することで、社員はどこにいても必要なファイルにアクセスできますし、外出の多い社員や社外とのファイルのやり取りもスムーズに行われるようになります。
さらに、ファイルを端末に保存して持ち歩く必要が無くなるので、PCに限らずモバイル機器も含め、万一端末を紛失しても情報漏えいに発展しない運用体制を取ることも可能です。
クラウドストレージがあれば、欲しい情報へいつでもアクセスできる利便性を手に入れられるので、日々の作業効率が大幅に向上すると同時に社員の満足度も大幅に改善されるでしょう。少し高機能なクラウドストレージ、つまりコンテンツ管理の機能を持つクラウドストレージを利用すると、版管理等の機能を活用し、単に欲しい情報というだけではなく、「正しい」情報へいつでもアクセスできるようになります。
Web会議/ビジネスチャット編
業務改善のために思いつくITツールといえば、Web会議/ビジネスチャットという方も多いでしょう。Web会議はパソコンに内蔵されているマイクとカメラを使って、対面であるかのようなコミュニケーションを実現します。ビジネスチャットはメッセージのやり取りをチャット形式にすることで、定型文を排除したりやり取りが時系列に確認できることから、素早いコミュニケーションに最適です。
Web会議/ビジネスチャットを使った業務改善術として有効なのが「会議の効率化」です。今まで会議室に集まって行っていたミーティングなどはWeb会議に置き換えれば、参加者の移動時間やコスト、準備時間を大幅に短縮できます。また、Web会議上でファイル閲覧も可能なので、関連書類の共有もずっと楽になるでしょう。上記のクラウドストレージと連携して使えば、2倍以上の相乗効果が期待できます。
さらにミーティング等をビジネスチャットに置き換えると、やり取りがすべて記録できるので、あらためて時間をかけて議事録を作成する必要性がなく、いつでも振り返りができます。これを習慣化すれば「ミーティングを行う」という意識を持たずにメッセージをやり取りするようになり、コミュニケーションを効率化・迅速化できます。
コミュニケーションが素早いと情報共有力も高まりますので、業務効率が大幅に改善され、生産性の向上に役立ちます。さらにビジネスチャットでいくつかのグループを作り、ディスカッションが自由に行える環境を整えることで、日常的にイノベーションも促進できるでしょう。
タスク管理編
タスク管理は、個人が抱えている業務量を可視化しながら、進捗度合いを確認できるITツールです。業務がスケジュール通りに進んでいるかを一目で確認でき、タスクの割り振りなどによって計画的に仕事を進めることができます。
加えて、ビジネス向けのタスク管理は責任者がチーム全体の仕事を管理しながら、タスクを割り振ったりスケジュールを編成したりできます。チームでプロジェクトを推進するにあたり、欠かせないITツールの1つです。
タスク管理があると社員同士でスケジュールを確認できるようになるので、コミュニケーションのムダを排除できるようになります。
ビジネスSNS編
ビジネス上のコミュニケーションを促進するのがビジネスSNSです。最近では、ビジネスSNSを通じた採用活動も盛んにおこなわれています。「スカウトを100通出して数打てば当たる」という昔の採用活動はすでに通用せず、今では人材の「やりたいこと」と採用側の「求めるスキル」が如何にマッチするかが、良い人材発掘の条件になっています。
そのためにビジネスSNSを活用すれば、目的の人材をいち早く発見することができますし、集中的にアプローチをかけられます。採用活動における業務改善が実現し、コスト削減と効率性アップを両立できるでしょう。
ITツール活用を見直そう!
ITツールによる業務改善効果は高く、これまでITツールの活用に消極的だった方も、今後は積極的に検討していく必要があるでしょう。この機会に、ITツール活用を見直してみてはいかがでしょうか。
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