2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行され、労働環境の新しい在り方が問われています。またコロナ禍を経験し、多くの企業でニューノーマルな多様な働き方の模索や実践が始まっています。また、働き方改革を実現し、よりよい労働環境を構築するためには、時代に合った、優れたITツールの活用も不可欠です。デジタル化実践のためにも、働き方改革の課題について解説するとともに、新しい時代に即した働き方を実現するためのITツールを5選を紹介します。
働き方改革推進にはITツールが不可欠な理由
2018年6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」、いわゆる「働き方改革関連法」と呼ばれる労働法改正が成立しました。働き方改革関連法は2019年4月1日より施行され、企業は労働環境の抜本的な改革が求められています。働き方改革関連法の目的は、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、公平な待遇の確保など、「一億総活躍社会」の実現に向けた労働環境の再構築です。
働き方改革の掲げる理想を実現するためには、業務の効率化と労働生産性の向上が欠かせません。長時間労働が是正されるなか、より高い成果を創出するためには、シンプルにいかに時間あたりの生産性を最大化するかが求められます。そこで必須となるのがITツールの導入による、業務プロセスの最適化です。ここからは、ITツールの活用が働き方改革の実現に不可欠となる理由を解説していきます。
人手不足の解消と生産性向上の課題の解決
働き方改革関連法が推進される背景にあるのは、人口減少と少子高齢化による市場競争力の低下です。日本の総人口は1967年に初めて1億人を超えたものの、2008年の1億2,808万人をピークに減少の一途を辿っています。また人口減少とともに大きな社会問題となっているのが少子高齢化です。総務省統計局の調査によると、2021年2月時点の日本の総人口は1億2562万人、65歳以上の高齢者数は3616万5千人と推計され、総人口の28.7%を占めています。全人口に対する高齢化率28.7%という数字は先進諸国と比較してもトップであり、現在の日本は超高齢化社会へと変容しているといえるでしょう。
人口減少と少子高齢化の流れは今後さらに加速し、それに比例して日本の労働力も下降し続けると予測されます。投入できる人的リソースが限られるなか、高い成果を創出するためには一つひとつの業務に対する効率の向上が不可欠となります。ITツールを活用することで、さまざまな業務プロセスが効率化され、労働生産性の最大化につながります。このような背景から、デジタル化が急務で優れたITツールの活用が働き方改革の実現に非常に重要といえるのです。
サービス残業が増えやすい
働き方改革が推進される理由のひとつに「長時間労働の常態化」があげられます。日本は世界的に見ても長時間労働の割合が高い国です。厚生労働省の「令和2年版 過労死等防止対策白書」によると、一週間の労働時間が49時間を超える労働者数は18.3%となっており、アメリカ15.7%、イギリス11.4%、フランス10.1%、ドイツ7.7%を大きく超えています。2015年には大手広告代理店の過労自死事件が大きな波紋を呼び、過重労働が社会問題として顕在化しました。
日本企業では、これまで残業をすることでより会社に貢献しているという風土や文化が長く存在してきました。そのため残業が法規制されたとしても、サービス残業を強いられる可能性は否定できません。こうした文化や企業風土をも是正し、過重労働をなくす一助となるのが勤怠管理システムです。勤怠管理をシステム化することで、違法なサービス残業や過重労働の防止に貢献します。
時短ハラスメントが起きやすい
働き方改革の推進によって過重労働が是正されたものの、負の側面として「時短ハラスメント」が問題となっています。時短ハラスメントとは、具体的な対策がないままに、部下に残業時間の削減や定時退社を強いる行為です。これは従業員のモチベーション低下を招き、さらには職場環境の悪化によって離職率の増加にもつながりかねません。時短ハラスメントは従業員にとって大きな心理的負担となり、心身に不調をきたす事例も少なくないのです。
2019年4月に行われた労働基準法の改正により、時間外労働は原則「1ヶ月間45時間」「1年間360時間」を超えることはできなくなりました。業務量は変わることなく労働時間だけが減少するため、従来と同じ業務効率や業務プロセスでは同じアウトプットを出すことや仕事の質の向上は見込めません。だからこそ前述したとおり、ITツールの導入による業務プロセスの改善と効率化が不可欠なのです。時短ハラスメントを防ぐためには業務の効率化が必須であり、それには優れたITツールの活用がカギといえるでしょう。
働き方改革を推進する業務効率化ツールの種類
働き方改革を実現するために不可欠なITツールには、「Web会議システム」「ビジネスチャット」「勤怠管理システム」「ERP」「クラウドストレージ」があります。これらの5つのITツールが、どのようにして働き方改革の実現に寄与するのかについて解説します。
Web会議システム
Web会議システムは、遠隔地であってもインターネットを通じて会議やコミュニケーションを行えるITツールです。インターネット環境とPCさえあれば、場所や距離に左右されない柔軟なコミュニケーションが実現します。テレビ会議システムと比較すると費用負担が少なく、導入に手間がかからないのも大きなメリットです。近年、働き方改革関連法により多様かつ柔軟な働き方が推進され、多くの企業がテレワークを実施しています。Web会議システムは、ニューノーマルな働き方やテレワーク環境下におけるコミュニケーション手段として、不可欠なITツールといえるでしょう。
ビジネスチャット
今や、ビジネスチャットは社内コミュニケーションの円滑化に欠かせません。従来、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションツールはメールが主な手段でした。ビジネスチャットはメールよりも簡潔なやり取りが可能であり、グループ単位でのスピーディな意思疎通ができます。その利便性の高さから、企業におけるコミュニケーションツールの主流は、現在ではメールからチャットへと移行しつつあります。またユーザー認証システムやアクセス権限設定といった機能を備えており、よりセキュアな情報管理が実現するのも大きなメリットです。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、出退勤時刻の管理や遅刻・早退・欠勤情報など、勤怠管理業務を支援するシステムです。従来はタイムカードやExcelでの勤怠管理が一般的でした。しかし、こうした手法は管理に多大な時間と労力を要するだけでなく、記録漏れや打刻漏れといったヒューマンエラーも起こりやすくなります。また意図的に打刻せず、サービス残業を強いるといった不正が起こる可能性も否定できません。勤怠管理システムを導入することで、人事担当者の集計作業が効率化するとともに、法令順守の労務管理が可能になります。
クラウドERP
「ERP」とは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとった略称で、日本語では「経営資源計画」と訳されます。ERPは財務管理・人事管理・生産管理・在庫管理・販売管理・物流管理といった、企業経営における基幹情報を管理するマネジメント手法です。基幹情報を管理するITシステムは「ERPシステム」と呼ばれ、企業のあらゆる業務データを一元管理します。基幹情報を統括的に管理することで、さまざまな業務データがリアルタイムで共有され、組織全体の労働生産性の向上に寄与します。現代のビジネスでビッグデータの活用は重要な経営課題です。基幹情報を一元管理するERPシステムは、競争力強化のために必須のITツールといえるでしょう。そして近年ではクラウド型のERPが主流になりつつあり、これらを活用することでバックオフィスの働き方改革や業務生産性に大きく貢献できるでしょう。
クラウドストレージ
クラウドストレージは、インターネット上に構築されたITインフラにファイルを保存・共有できるサービスを指します。中には単なるクラウドストレージの機能だけでなく、様々なクラウドサービスと連携してファイル管理ができるものもあります。クラウドストレージの最大の特徴は、複数のデバイスで同時にファイル共有ができるという点です。クラウドベンダーが提供するインターネットでアクセスできるオンライン環境にファイルが保存されているため、自宅からでも外出先でも情報共有が可能です。オンプレミス型のようなサーバー機器が不要なので、初期投資や運用コストの削減につながるのも大きなメリットでしょう。例えば企業向けクラウドストレージのBoxであれば、詳細な共有設定やアクセス権限の設定はもちろんのこと、監査ログなど高度なセキュリティやテレワーク実施時に重要となるガバナンス機能を実装している点が他社のサービスと大きく異なります。また先述のWeb会議システムやビジネスチャットとも連携し、それらで利用するファイルを透過的に一元管理でき、ファイルの利活用において今日必須のクラウドといえます。業務効率化のために、もはやクラウドストレージは欠かせないツールといえるでしょう。
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まとめ
人口減少と少子高齢化に伴う労働力不足や長時間労働の常態化などが相まって、日本の市場競争力の低下が懸念されています。働き方改革の実現はこうした状況を打破し、雇用の促進と日本経済の発展に寄与するでしょう。働き方改革を実現するためには、より短い時間でも付加価値の高い仕事をこなす必要があるため、時間あたりにおける労働生産性の最大化が不可欠です。そのためには優れたITソリューションの導入とそれによる業務プロセスの改革が求められます。
既存のファイルサーバーの用途や機能のアップデートとしてBoxでクラウド化し、企業のあらゆる業務データを管理する基盤を整備することで、組織全体、さらに社外の関係者との円滑な情報共有とコラボレーションが実現します。プロジェクトやアプリケーション、さらには部門、企業の垣根を超えて、組織全体が連携を図ることで労働生産性の最大化につながるでしょう。企業と従業員の双方にとって最適化された労働環境を構築するためにも、Boxの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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