政府主体で推進されている「テレワーク」。働き方改革の一環でテレワークを推進している企業も増えるとともに実際にテレワークを主体として働く方々も数多くいらっしゃいます。今回はそのテレワークに関してご紹介します。
そもそもテレワークとは?
テレワークの概要を簡単に説明しますと、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用しての時間と場所に依存しない新しい働き方の概念と言えます。
そして、テレワークを大きく分類すると①雇用型と②自営型に分けられます。
- 雇用型
企業に勤務する従業員が実施するケースです。企業側でテレワーク基盤及び制度を整え、自宅やカフェなどオフィス以外の場所にいても働ける環境を提供します。
- 自営型
SOHOやフリーランスなど、専業性が高い仕事においてICTを活用し、時間と場所に縛られない働き方を指します。2018年のフリーランス人口は1,119万人とされており、テレワークを実施する個人事業者は年々増えています。
実際にこのテレワークを企業が推進・実施することで機動力が増すことに加えて、従業員の満足度向上にも貢献します。
それではこの政府も掲げるテレワークの意義やその効果についてご紹介いたします。
雇用型テレワークのカテゴリ
テレワークの基礎知識についてもう少し整理しておきます。雇用型テレワークの場合、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」「テレワークセンター」「スポットオフィス」という5つのカテゴリがあり、それぞれに異なる特徴を持っています。
在宅勤務
自宅を主な就業場所として働く形態です。ICTが整えられていればさほど難しくはありません。従業員は通勤時間などを削減でき、かつワークライフバランスを整えられます。
モバイルワーク
特定のオフィスに依存せずに、いつでもどこでも仕事が可能な状態にするものです。カフェや取引先オフィスにて一定期間仕事を行うシステムエンジニア等も、モバイルワークの一種と言えます。
サテライトオフィス
オフィス近辺、または遠方に別のオフィスを設定して従業員にとって働きやすい環境を整える形態です。近年では、コワーキングスペースやシェアオフィスなど、レンタルオフィスサービスを利用するケースが増えています。
テレワークセンター
テレワーク導入を前提として、ICT環境が整えられた共同利用型施設を指します。コワーキングスペースやシェアオフィスともコンセプトが異なる、テレワーク導入企業に働きやすい環境が整っています。
スポットオフィス
出張者やモバイルワーカーが気軽に立ち寄って仕事ができる簡易的オフィス空間をスポットオフィスといいます。導入率はまだ低いものの、今後急速に拡大する可能性があります。
以上のように、テレワークはカテゴリごとに異なる特徴があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。導入企業としては、既存業務やICT環境等を考慮して、最適なカテゴリを選択する、または組み合わせることが大切です。
[SMART_CONTENT]テレワークの意義と効果
企業によっては「テレワーク導入に意義が見出せない」という経営者もいます。実際に、テレワークは必ずしもすべての企業にとって意義や効果があるわけではありません。まずは、テレワーク導入の意義と効果をはっきりと理解し、自社にとって価値ある施策かどうかを検討する必要があります。ここでは、総務省が説明しているテレワークの意義と効果を抜粋しつつ、詳細を解説していきます。
少子高齢化対策の推進
- 人口構造の急激な変化の中で、個々人の働く意欲に応え、その能力を遺憾なく発揮し活躍できる環境の実現に寄与
- 女性・高齢者・障がい者等の就業機会の拡大
- 「出産・育児・介護」と「仕事」の二者選択を迫る状況を緩和
- 労働力人口の減少のカバーに寄与
少子高齢化は日本が長年かかえている社会問題であり、今後数十年をかけて日本の人口が急速に減少していくことが予測されています。それに伴い、労働力不足問題も顕著になるので、老若男女誰もがライフスタイルに合わせて働ける環境を必要としています。企業はこの社会的責任を果たすとともに、多様な働き方を提案することで諸事情による離職を防ぐ効果があるでしょう。
ワークライフバランスの実現
- 家族と過ごす時間、自己啓発などの時間増加
- 家族が安心して子どもを育てられる環境の実現
労働生産性は従業員の精神的安定に大きく依存します。ビジネスやプライベートに心配事が少なく、いつも安定した精神状態を保てれば作業効率は向上し、ビジネスの付加価値は増大します。そのためにはワークライフバランスを整え、家族と過ごす時間や自己啓発などに充てる時間を増やし、安心して子育て・介護ができる環境づくりをすることがポイントです。
地域活性化の推進
- UJIターン・二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化
地方が元気になれば、日本全体が元気になるという考えにもとづいて、地域活性化を推進することでテレワークを主体として経済活性化を促す効果があります。企業がこれに取り組むことで、地域における貢献度を高めてブランドを強化したり、従業員満足度を向上させたりするなどの効果があるでしょう。
環境負荷軽減
- 交通代替によるCO2の削減等、地球温暖化防止への寄与
テレワークによって交通量が減少すれば、単純に考えてCO2削減など地球温暖化防止に寄与することも期待されています。環境問題を考えてテレワークを実施する企業は少ないので、テレワークによって社会的責任を果たしていることをアピールするチャンスでもあります。
有能・多様な人材の確保生産性の向上
- 柔軟な働き方の実現により、有能・多様な人材の確保と流出防止、能力の活用が可能に
人材不足や採用難といった問題を抱えている企業においては、柔軟な働き方を従業員に提供することで、人材流出を防止したり、有能・多様な人材の確保を実現できます。
営業効率の向上・顧客満足度の向上
- 顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
- 迅速、機敏な顧客対応の実現
テレワークを導入すれば無駄な移動時間を排除できるため、取引先への訪問回数や滞在時間を増加させられ、迅速かつ機敏な顧客対応も可能になります。顧客満足度や売上は顧客とコミュニケーションを取る時間に比例する傾向にあるため、営業力強化にもつながります。
コスト削減
- スペースや紙などオフィスコストの削減と通勤・移動時間や交通費の削減等
オフィス以外の場所で働く環境では、紙資料の印刷を必要としないケースが多くなるため印刷コストや保管コストなどを大幅に削減できます。さらに、通勤や移動にかかる交通費も削減されるため、経費削減効果も見込めます。
非常災害時の事業継続(BCP)
- オフィスの分散化による、災害時等の迅速な対応
- 新型インフルエンザ等への対応
日本では台風や地震といった自然災害を含め、大規模災害がいつ発生するかわからない状態です。もしも1つしかないオフィスが被災すれば、事業復旧までにかかる時間やコストは計り知れません。テレワークによってオフィスが分散されていれば、災害時の迅速な対応が可能ですし、新型インフルエンザなどの感染拡大も防止できます。もちろん、災害時に無理をしてオフィスに行く必要もなく業務を遂行できるため、事業継続への大きな礎となります。
また、2020年には東京オリンピック・パラリンピック開催によって首都圏の混雑が予想されます。テレワークを実現できる企業が協力して交通機関の混雑と混乱を減らす努力も必要になると思われます。
いかがでしょうか?テレワークには様々な意義と効果があり、企業によってはそれらのメリットを大いに享受できることでしょう。そして、このようなICT環境を構築するためにはクラウドは必須です。その一つとして、Boxは完全なクラウドストレージ、さらにクラウド・コンテンツ・マネジメントのサービスを提供しています。まだテレワークがこれからという企業は、その準備のためにBoxを導入してみてはいかがでしょうか。
総務省『テレワークの意義・効果』(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/18028_01.html)
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