年々コラボレーションツールの市場は拡大しています。モバイルの普及やテレワーク需要に加え、「共創」というキーワードと共に、仕事の仕方も個人や社内に閉じた作業から、社外の人も含めた共同作業の必要性が高まっていることが背景にあります。本稿では、そのような「共創」を支えるコラボレーションツールとは何か?その必要性と選び方などについてご紹介します。
コラボレーションツールとは?
コラボレーションツールは特定のツールを指しているのではなく、組織で共同作業を可能にするツールの総称です。主に①クラウドストレージ、②Web会議システム、③ビジネスメール、④ビジネスチャット、⑤タスク管理(ToDo管理)/プロジェクト管理、⑥スケジュール、⑦社内SNSといったものがコラボレーションツールに含まれる典型です。
クラウドストレージ
組織で情報共有を促進するためのファイル共有スペースは、過去には社内のファイルサーバーにソフトウェアをインストールして構築していました。クラウドストレージサービスはこのファイル共有スペースがインターネット上に用意されており、自社でファイル共有スペースを構築するのではなく、サービスとして利用することができるSaaSです。
クラウドストレージを利用することでデバイスや場所を問わず、いつでもどこからでも同じファイル共有スペースにアクセスできるため、社内で構築したファイル共有スペースよりも情報共有をシンプルに実現することが可能です。
さらに、ビジネス向けのクラウドストレージはセキュリティ機能が強化されており、ファイルごと・ユーザーごとのアクセス権限等を柔軟に設定することでファイル共有スペースをセキュアに運用することが可能です。
Web会議システム
組織内の共同作業環境を強化して、生産性を上げるためには従業員同士がフェイストゥフェイスのコミュニケーションを気軽に行えるツールが必要です。それを実現するのがWeb会議システムであり、ユーザーは物理的に移動するのではなく、パソコンに搭載されているカメラを使用してネットワーク越しに他のユーザーと画面上で即座に対面できます。
個人対個人だけでなく、グループでのコミュニケーションにも適しており、ツールによっては数百人単位での同時接続が可能です。Web会議システムもテレワーク実践に欠かせないツールであり、遠方にいる者同士が対面してコミュニケーションを取ることで、移動時間を無くし、情報交換を活発にできます。
さらに、Web会議システム上でコミュニケーションを取りつつ資料を共有したり、共同編集を行うといったコラボレーションをすることが可能です。定期的に各支社から管理者を集めて会議を実施するような企業では、それをWeb会議システムに置き換えることで交通費や移動時間などを大幅に削減することも可能です。
ビジネスメール
一般的な企業で活用がするメールクライアントといえばOutlookという方も多いのではないでしょうか。その一方で最近ではメールクライアントを利用しなくてもブラウザでメールの送受信が可能なさまざまなクラウド版のビジネスメールも広く利用されるようになってきました。自社サーバーでのトラブルや運用面を気にせずに利用できるのをメリットだと感じる企業が多いようです。
近年のビジネスメールの動向は、気軽にメール整理ができる機能を備えているものが多く、中には容量無制限のアーカイブメールボックスを提供するサービスも珍しくありません。より効率的に、より効果的にビジネスメールを活用するために、ユーザーの選択肢は広がっています。
ビジネスチャット
手紙、電話、FAX、メール、時代と共にコミュニケーションの主流は遷移していき、現在ではビジネスチャットを活用する企業も多いのではないでしょうか。これはLINEのようなチャット形式のコミュニケーションをビジネス向けに特化させたツールで、ビジネスメールよりも気軽にかつ素早くコミュニケーションを取り、共創することができるツールとして注目されています。
ビジネスチャットでやり取りしたメッセージは時系列に記録されるため、画面を上へとスクロールするだけで会話の内容を追うことができます。チャットスペースには資料や動画の添付もでき、ボタン1つで電話をかけることも可能です。
最近では、社内のコミュニケーションをすべてビジネスチャットに置き換えている企業も少なくありません。ただし、社外とコミュニケーションを取るためのツールとしては、未だビジネスメールは欠かせないケースが多いのが現状です。
タスク管理(ToDo管理)/プロジェクト管理
個人的に使用するタスク管理は、自分が抱えているタスクを整理し効率良く処理していくのが目的です。目標に向けてタスクを1つ1つ処理していくことで、進捗管理も行いやすくなります。
一方、ビジネスで使用するタスク管理/プロジェクト管理はチームとして抱えているタスクを整理し、プロジェクトを完了させるためにメンバーへ適切に振り分ける業務を遂行するためのツールです。チームが抱えるタスクが可視化されていないとプロジェクトを円滑に進めることができず、目標達成が遅れ、それが顧客満足度の低下や最悪の場合は赤字に繋がります。そのためこれらのツールを使い、社内外のメンバーによるプロジェクトが円滑に進むよう進捗管理を徹底します。
スケジュール共有
組織のコラボレーションを円滑にするためには、従業員が互いの予定を把握している、もしくは必要に応じて即座に知ることができる必要があります。たとえば会議を計画しようにも、参加者の予定が把握できていないと電話やメールで予定を確認した上で、最適な日時を指定しなければいけません。
一方、スケジュール共有がある環境では誰もが互いの予定を瞬時に把握でき、素早く会議を計画できます。それ以外にもさまざまなシーンで予定管理が可能なので、組織のコラボレーションを活発にできます。
コラボレーションツールの必要性と選び方
現代ビジネスにコラボレーションツールが必要とされている理由は、組織全体のコミュニケーション活発化が生産性向上や顧客満足度向上、新しいワークスタイルの実現、最終的には利益創出に繋がることを多くの企業が理解しているためです。
部門を超えたコミュニケーションが活発になれば、業務プロセスの処理はそれまでよりも効率的になり、情報を積極的にやり取りすることで組織全体が共通の目的に向かって推進されます。さらに、最近では働き方改革の一環としてテレワークを実施する企業も多く、そのためにコラボレーションツールが欠かせなくなっています。
コラボレーションツールを選ぶ上で注意したいポイントが“セキュリティ”です。多くのツールはクラウドサービスで提供され、故に高い生産性向上効果をもたらします。しかし、その一方でインターネット上に公開されているサービスを利用するためにセキュリティには細心の注意を払う必要があります。
コラボレーションツールごとのセキュリティ機能を十分にチェックして、目指すビジネスに運用可能かどうかを評価した上で、自社にとって最適なコラボレーションツールを選択していく必要があります。他にも機能面やコスト面で比較する部分はたくさんありますが、まずはこれまでと同等、もしくはそれ以上に厳重かつ柔軟なセキュリティを取れるかどうかが確認できれば、より合ったコラボレーションツールを採用することができるはずです。
コラボレーションツールを利用する目的に沿って選定基準を作り、セキュリティを重視しつつ最適なコラボレーションツールを選択しましょう!
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