東京圏では、電車やバスにもそれなりに人が戻り、コロナ慣れしたとは言われている中で、9月末から10月にかけて行われた東京商工会議所による「テレワーク実施状況に関するアンケート」によると、テレワーク実施企業は53.1%でした。テレワーク実施企業が今後も継続実施する上での課題を押印(61.6%)とコミュニケーション(57.4%)を挙げています。
東京商工会議所「テレワーク実施状況に関するアンケート」http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1023286
ZoomやMS Teamsがwithコロナのニューノーマルの今、新しい働き方を目指しより活発に使われるようになったのにも関わらず、コミュニケーションが課題に挙がっています。そこで当ブログでは、コミュニケーションに関連した「情報」や「コンテンツ」について整理してみたいと思います。もう一歩踏み込んだ理解につながれば幸いです。
コミュニケーションとは
あらためてですが、コミュニケーションとは何でしょうか?ウィキペディアによると、「社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達」とあります。
「ただし、」とその続きがあるのが興味深く重要なポイントとなります。「ただし、一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、人間と人間の間で、《意志の疎通》が行われたり、《心や気持ちの通い合い》が行われたり、《互いに理解し合う》ことが起きたりして、はじめてコミュニケーションが成立した、といった説明を補っているものもある」」と説明しています。
この、「情報の伝達」と「相互理解」の2つがコミュニケーションを成功させる上でのポイントとなると感じていただけるのではないでしょうか。この点について整理してみます。
コミュニケーションにおける情報には種類がある
情報には大きく2つの種類があります。1つは「フロー情報」でもう1つが「ストック情報」です。では、各々はどういう特徴があるのでしょうか?
フロー情報とは、目的やニーズに応じて即座に開始され、流れて残すことなく終わりという情報です。会話そのものやメール、チャット、ビデオ会議でのやりとり、プレゼンテーションといったものが当てはまります。ライフサイクルは当然短く、オープンに誰とでもコミュニケーションでき、リアルタイムかつアジリティが高いことも求められます。
一方、ストック情報とは、画像やドキュメントといったファイルが当てはまります。後の閲覧や再利用、証跡といった目的やニーズのため保存・保管されるため、ライフサイクルは長くなり、セキュリティやガバナンスを含めた管理が必要となります。例えば、講演そのものはフロー情報ですが、後で見直しができるPDFやPowerPointのファイルはストック情報となります。
再度コミュニケーションに戻って、「情報の伝達」と「相互理解」を考えると、自分が思っていることや考えていることを伝達すること自体はフロー情報の会話でできます。上記の「情報の伝達」にはこのフロー情報でも満たせるということです。コミュニケーション相手の理解まで、つまり「相互理解」までを考えるとストック情報が必要となることが多いのではないでしょうか。その場が理解できたように思っていても、後で思い起こすと何のことか分からなくなっていた、良く覚えていない、思い出せない、実は曖昧な理解だった、といったことは誰でも良くある経験だと思います。
そこにストック情報であるファイルやドキュメントというコンテンツを足すと、コミュニケーションの定義の「情報の伝達」と「相互理解」の両方が満たせるようになります。つまり、ストック情報となる資料(これもコンテンツです)を用意し、コミュニケーション相手に共有し、コラボレーションすることで、コミュニケーションが完成するのです。コラボレーションをコミュニケーションの一部だと唱える人がいることはこのためです。
コミュニケーションを支えるITツール
コミュニケーションとコラボレーション、そしてコンテンツのスタックにITツールを割り当てると図のようになります。
コロナ禍をきっかけに企業での利用が激増しているZoomはビデオ会議システムであり、顔の見えるコミュニケーションは有意義ながら、まさにフロー情報中心のコミュニケーションツールです。Teamsもビデオ会議やチャット、配下にはSharePointとOneDriveを持ち一元的にコンテンツの管理ができるわけではありませんが、コラボレーションを含んだコミュニケーションツールとなります。とはいえ、現実的にはフロー情報中心で利用されています。先日Salesforceに買収されたSlackもビジネスチャットというフロー情報用のコミュニケーションツールです。
一方、クラウドストレージの機能を持つBoxは、ストック情報となるコンテンツを一元的に持ち、それらを簡単にセルフサービスでコラボレーションできるため、フロー情報中心のZoomやTeams、Slackと共に使うことによって、企業が業務を遂行する上で本当に必要となるコミュニケーションが完成します。
なぜテレワークでコミュニケーションが課題と感じるのか
少々言い方が乱暴かも知れませんが、仕事とはコンテンツをコラボレーションとコミュニケーションして成果を出すことと言えるかも知れません。コラボレーションをコミュニケーションの一部と見なすと、テレワーク実施企業がコミュニケーションを課題に挙げる真意は、フロー情報はいわゆる会話のやりとりやメールといった分かりやすく表層のコミュニケーションであって、対策もされ、ITツールも多く満たせています。
しかし、ストック情報(コンテンツ)はそれ自身への意識があまり高くないこともあって、注目や解決がまだまだされておらず、それが故にニューノーマルになって対面が減りコミュニケーションが難しくなったと感じる人や企業が多くなり、その原因が浮き彫りにはなっていませんが、コミュニケーションが課題と回答する企業が多く存在すると考えられます。リモートワークや在宅勤務といったテレワークを成功裏に実施している企業がこの2つのクラウドサービスを活用しているのはそのためなのです。
コロナウイルス感染拡大対策に限らず、ニューノーマルに対応した多様な働き方ができるIT環境をご検討の企業はぜひフロー情報とストック情報といった業務で活用している情報についておよび、それを支えるクラウドサービスについてももう一歩踏み込んだ整理・理解の上、検討をしてみてはいかがでしょうか。
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